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#63_東大王座奪還! 千葉大14年ぶりの優勝! – 2017年度インカレリレー

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3月11日、栃木県日光市の『日光高畑 ―時の汽笛、約束の場所―』を舞台に「2017年度日本学生オリエンテーリング選手権大会 リレー競技部門」(以下、インカレリレー)が開催され、男子選手権は東京大学(佐藤遼平-松尾怜治-種市雅也)、女子選手権は千葉大学(森谷風香-稲垣秀奈美-香取菜穂)が優勝した。


前日のミドルに引き続き日光で行われたインカレリレー。テレインの『日光高畑 ―時の汽笛、約束の場所―』は、旧地図『不動の滝(南)』で前日使用されていない東部のエリアが主に使用された。
各校の応援が飛び交う中、9:30に男子選手権、9:40に女子選手権がスタートした。

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男子選手権スタート!

 

男子選手権の熱戦

男子選手権の1走は、東北大学佐藤誠也)、京都大学(森河俊成)、慶應義塾大学(桃井陽佑)の3校が団子状態で2走にチェンジオーバー。さらに、それぞれ10数秒差空けて東京大学(佐藤遼平)、名古屋大学(堀尾健太郎)が続き、ここまで、43分台の前半から中盤に5チームが並ぶ混戦となった。東京大学の佐藤は「後ろ2人にエースがいるので自分の走りが重要になると思っていたが、正直なところコンディションがあまり良くなく、走る部分では他大にがんがん抜かれてしまった。苦しいレースだったが、自分の1年間で成長した技術を信頼して走った結果、前がしっかり見える位置でつなぐことができた。自分の責務を果たせてほっとした」と話していた。 

続く2走は、東京大学の松尾怜治が男子全選手中2番目のタイムとなる41:53を叩き出し、他大を引き離した。続いたのは東北大学(北見匠)、43:38の好タイムだが、東大とは約1:40の差がついた。その約30秒後、慶應義塾大学(上島浩平)が1走に続き3位を維持、以下、京都大学(伴広輝)、早稲田大学(友田雅大)、名古屋大学(竹内公一)と続く。東京大学の松尾は「1走の佐藤がいい位置でつないでくれて、気持ちとしては楽しみな入りだった。1→2で1分くらいミスがあって少し焦ってしまったが、多少のミスはもともと問題ないと思っていたのでうまく切り替えることができ、あとは自分のペースで気持ちよくオリエンテーリングができた」と話していた。

勝負を決める3走。東京大学の種市雅也は1位でのスタートとなったが、1→2で気が付いたら12番コントロールに向かっていて1分くらいのミスをしたという。「後ろとの差が分からず、後ろが気になりながら走った。たぶん後ろは来ていないだろうが、来ていたらどうしよう、という思いはあった」という。ただ、道も登りも頑張って走ったという種市の走りは後続を着実に引き離しており、毎回の中間速報では2位を10秒程度じわじわ引き離している結果となっていた。会場では、優勝に向けて着実に進んでいるように見受けられた。2走の松尾とのチェンジオーバーでは「ビジュアル後が難しい」との情報を聞いていたので、しっかり地図を読んで臨んだそうである。結果、全選手中最速となる41:47のタイムを出し、東大の優勝を決めた。東大は09年に優勝してから11年まで三連覇を果たし、12年に優勝を逃すも、13年から15年まで再び三連覇、昨年優勝を逃したが今年王座奪還を成し遂げ、この9年間は優勝7回、2年連続で優勝を逃したことがないという、すさまじい強さである。

種市は「昨年は4年生2人と一緒に走ったが、4年生が泣く姿をたくさん見て、今年こそは今の4年生にも笑顔で終わってほしい、昨年優勝がかなわなかった今のOB1年目にも優勝を届けようと走った。また、昨日、加藤岬さん(東大4年)と長く話して、気持ちとパワーをもらった。走れない先輩の分も頑張ろうと思った」と話してくれた。今年の東大チームについては、佐藤は「リレーメンバーセレの間は『リレーのメンバーになれるだろう』という甘えを作らせてもらえない環境で、メンバーが決まってからも切磋琢磨するたくさんの仲間がいる環境だった」と振り返っていた。また「そんな仲間たちと喜びを共有できたことが一番うれしい。これからも切磋琢磨して高みを目指していきたい」と話していた。
松尾は「昨年四連覇を逃して、東大チームとして悔しい思いをしていた。優勝を目指して、チームとして頑張ってきた。応援やサポートに報いることができて、優勝して率直に嬉しい。頼もしい後輩と走ることができて、本当に幸せだった。今度こそ、四連覇を期待しています」と話してくれた。

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男子選手権優勝 東京大学

 

東京大学から約3分半後、東北大学(佐藤俊太郎)がフィニッシュ。1走から3走まで、全員43分台と崩れずに走り抜けたが「東大の壁は高かった」と話していた。だが、準優勝以上の記録となるのも12年に優勝して以来5年ぶりとなる立派な記録、来年はさらなる躍進を誓っていた。第3位でフィニッシュしたのは慶應義塾大学(坂梨敬哉)。3位となるのは1996年以来となり、慶應義塾大学としては過去最高記録タイとなる。前日のミドルで優勝した上島浩平が「明日は慶應が強豪校となったということを強く印象付けるレースをします」とインタビューで話してくれたが、まさにメンバー3人で有言実行を果たしてくれたレースとなった。
第4位は、1走からじわじわと順位を上げ続け、早稲田大学(柴沼健)がフィニッシュ。続いて、京都大学(岩井龍之介)、名古屋大学(南河駿)が入賞を決めた。

 

女子選手権の熱戦

女子選手権の1走は、前日のミドルで優勝した勝山佳恵が走る茨城大学がトップでチェンジオーバー、3走まで含めて全選手中最速のタイムであった。1分半空いて千葉大学(森谷風香)が続く。さらに3分強空いてフェリス女学院大学(成澤春菜)、その1分強の後、東北大学(長谷川真子)が続いた。千葉大学の森谷は前日のミドルで失格してしまっており「今日は絶対そんなことなくつなげたい」と思っていたそうだ。「レース中は『自分は大ミスをしなければ無難につなげられる』と思っていて、周りに人がいても気にせず、地形をしっかり見て確実に進んだ」という。そのタイムは、他の千葉大メンバーも「予想以上に速かった」と驚くものであった。

続く2走は、名古屋大学(伊部琴美)がトップに立つ。名古屋大学の伊部は1年生ながら、勝山に次いで全選手中2位となる驚異的な走りを見せる。だが、この約30秒後、フェリス女学院大学(大類茉美)と東北大学(高橋友理奈)がほぼ同着で3走につなぐ。その1分後、千葉大学(稲垣秀奈美)がチェンジオーバーし、上位4校による混戦の様相を呈した。千葉大学の稲垣は「1走の森谷がめっちゃ速くて焦りはあった。走るとこでめっちゃ走り、登るところで登るということで、自分向きのコースではないと思っていたが、後続に追いつかれないように頑張った。ビジュアルまでは集中して回れていたが、ビジュアルでちょっと気が緩んでその直後にミスをしてしまった。しかし、仮に抜かれても3走の香取が後ろで抜いてくれるという安心感があった」と話してくれた。

混戦が続くのか、どこかが抜け出すのか。会場の応援が白熱する中スタートする3走。中間では、チェンジオーバーにあった1分のビハインドをひっくり返し、千葉大学(香取菜穂)がトップに立つ。香取はスタート時の心境を「前の2人が早く帰ってきたおかげで、4位だが前が見える位置となっており、緊張は無く、逆にやる気が出た」と振り返っていた。そして、千葉大学がトップでビジュアル通過。ここまで香取は前の選手が見えなくなっていて自分は4位だと思っていたようだが、ビジュアル通過時のアナウンスで「もしかして1位なのでは…?」と思ったという。だが、後ろに迫る東北大学の伊佐野はる香。ビジュアル後の最初のコントロールでは伊佐野が香取を先行したという。優勝の行方は千葉大と東北大に絞られた。千葉大、東北大のチームメンバー、そして部員全員が見守る。わずか5分程度のことなのに、接戦の結果を待つ時間はどれほど長く感じただろうか。最後に待ち受ける斜面を登り切り、会場に姿を見せたのは千葉大の香取、そしてその後ろには東北大の伊佐野! わずか6秒差で香取が逃げ切り、千葉大学の優勝が確定した。

最後の斜面を登る際、香取は「意識がもうろうとしたが、千葉大のみんなが応援してくれることを思うと、絶対にここで抜かれてはいけないと思った」という。千葉大の優勝は、2003年以来、14年ぶりのこととなる。メンバーは優勝に対して「信じられない。びっくりした」と口をそろえた。もともと実力あるチームとして知られていた千葉大学、だが、ここまでやると予想していた人は少なかったのではないだろうか。3人とも崩れない、見事な走りで優勝を勝ち取った。3年生3人のメンバーで挑んだ千葉大女子選手権チームだが「自分たちは4年の小山さんを含めた4人で切磋琢磨してきた。その結果を出すことができてうれしかった。来年もこのメンバーで走ることはできるが、後輩も育ってきている」と話しており、来年以降のさらなる活躍も期待させてくれた。

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女子選手権優勝 千葉大学

 

惜しくも三連覇を逃した東北大学が準優勝。男子同様、優勝を目標としてきた彼女らにとっては悔しい結果かもしれない。だが、男子選手権とともに準優勝を達成するのも偉業と言える。そして、東北大学は秋春インカレのメダルの合計数を競う山川杯を久しぶりに手にした。あらゆるクラスで実力を示した証でもあり、その層の厚さを改めて示した格好と言える。
第3位には名古屋大学が入ったが、女子選手権としては過去最高順位となった。第4位のフェリス女学院大学は初の入賞となった。表彰式で「やっと本当にここに立てた」と話す姿が印象的だった。そして、5位以下は激しい入賞争いとなった。まず5位でフィニッシュしたのは新潟大学(山内美輝)、その4分後、ほぼ同時に会場に姿を見せた立教大学(木村るび子)と椙山女学園大学(福山美矩)の戦いは、2秒差で立教大学に軍配が上がった。立教大学は1年生2人を擁しての入賞となった。

  

来年の秋インカレは駒ケ根高原での開催となる。新歓を経て新たな仲間を増やした学生たちが、9月に再び駒ケ根の地に集う。

 

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男子選手権 東京大学1走 佐藤のルート図

 

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男子選手権 東京大学2走 松尾のルート図



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男子選手権 東京大学3走 種市のルート図



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女子選手権 千葉大学1走 森谷のルート図

 

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女子選手権 千葉大学2走 稲垣のルート図

 

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女子選手権 千葉大学3走 香取のルート図

 
▼2017年度インカレミドル・リレー
http://www.orienteering.com/~icmr2017/index.html

▼成績速報(Lap Center)
https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=4452

▼IC2017 relay – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=i7wX0Rr49xY

 

 

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