OK-Info

2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#75_最高の名チームから世紀の天才いざ世界へ - 伊部様・南河様壮行会

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ジュニア世界選手権(JWOC)の日本代表に選出された伊部琴美選手(名古屋大学2年)、 ユニバーシアード(WUOC)の日本代表に選出された南河駿選手 (名古屋大学OB1年目、OLCルーパー所属) の活躍を祈願して6/16(土)、愛知県春日井市『落合公園』で壮行会が開催された。

 

この落合公園は伊部選手が昨年7月、オリエンテーリング4ヶ月目にして上級生全員に勝って東海スプリントセレで優勝し 「伊部様」の尊称で呼ばれるきっかけとなった伝説の地。 伊部様はその後も力を伸ばし続け、 昨年秋のインカレスプリントでは選手権クラス5位入賞、 昨年冬のJOA公認京葉OLC大会ではW21Aクラス優勝、 今年の春インカレリレーでは名大代表として選手権クラス2走を走り全体2位の好タイムで6人抜きトップ帰還、 そして2週間前の東大大会兼東日本大会では何とW21Eクラスで3位に入っている。 まだオリエンテーリング1年3ヶ月でのこの活躍ぶり、過去にほとんど類を見ないもので、 将来どこまで凄くなるか楽しみな選手である。
もう一人の主役の南河選手は 昨年の名大を率いてきたエースで3月のインカレでは個人・団体とも6位入賞。 学生のうちからOLCルーパーにも入会し、 2017年度は全日本ロング(M21A)、ミドル(M21A)、スプリント(M21A)、リレー(ME) の4種目全てで優勝したほか、12月のJOA公認京葉OLC大会でM21Eクラス3位入賞、 今年5月の根の上高原大会兼AOCでMEクラス準優勝など インカレ以外の主要大会でも輝かしい成績を多数残している。

今回の壮行会は名古屋大学椙山女学園大学オリエンテーリング部(名椙OLC)の2年生が 中心となって運営した。 「できる限り同期で運営を回そうと頑張った。 スプリントセレが近いのでコース設定は竹内氏(4年)にお願いした。企画的なものよりもスプリント自体を楽しめるように、半ば練習会のようなイベントを作ろうと心がけた」と語るのは実行委員長の石川創也氏。その言葉通り、簡単なイメージがある落合公園にも関わらず目まぐるしい方向転換や藪まわりの細かい読図、3択から成る複雑なルートチョイスレッグなどスプリントの様々な要素を織り込んだテクニカルなコースが用意された。 更にファシュタ練習向きの追加コースも用意され、全国から有力選手が多数集まり公開練習会さながらであった。

翌日の全日本大会と比較的近い場所で開催されることもあって県内はもちろんのこと関東・関西などからも参加者が集まり、総勢90名の一大イベントとなった。名大でJWOC出場経験のある河村選手や川島選手、伊部様とともにJWOCに出場する森清選手や祖父江選手(東海高校)、昨年のJWOCで大活躍した稲森選手(横国大)、伊部様のライバルの増澤すず選手(筑波大)なども来ていた。 

 

レースはMA(3.1km)、WA(2.9km)、F(1.5km)の3種類。 南河様はMAに出走して67人中の2位。 トップはKOLCの橘選手で6秒差であった。 伊部様もWAではなくMAに出走し、男子の約2/3に勝って21位(女子ではトップ)。 橘孝祐、南河駿、森清星也、松井健也、稲森剛といった 全国トップクラスの有名男子選手が多数走る中で 何と巡航速度113.9%を叩き出した。

閉会式ではMA,WAで上位に入った選手から 南河様・伊部様に花束が贈呈された。 またFクラスの優勝者は主役の2人と並んで記念写真を撮れるという特典付きであった。

閉会式での2人のコメント。

南河様:「伊部様のような才能があるわけではないけど名椙はじめ応援してくれたみんなのお陰で頑張ってこれたしここに立つことができた。 しっかり準備して本番に臨みたい」

伊部様:「全国からたくさんの人に来てもらえて楽しい壮行会になった。 あと2週間ほどで出発になるので楽しんできたい」 

JWOCは7/8(日)〜14(土)の日程でハンガリーで開催される。 またユニバーシアードは7/17(火)〜21(土)の日程でフィンランドで開催される。

 

コース

落合公園と言えば簡単なイメージがあったが、 いざ走ってみたら想像以上にテクニカルであった。

伊部様、南河様からルート図をいただいたので掲載する。

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伊部様のルート

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南河様のルート

 

コースセッターの竹内氏からコース解説をいただいた。 内容は以下の通り。

 

全体構成

簡単なテレインであるが走るだけにならないよう、アタック方向から見えない場所にコントロールを置くことを意識した。また前半に丘を切るレッグを多数設けて体力を消耗し、後半でルートチョイス+細かい読図に対応できるかを問う課題設定にした。

◆11→12

距離は測ってみたら南北どちらでも同じ。南回りだとコントロールで進行方向を変えずに脱出できる利点がある。一方、13,14が難しい場所にあるので北回りだとそれらを見れるという利点がある。

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◆15→16

距離は南回りの方が短い。北回りだと進行方向を変えずに脱出できる利点があり、どちらを取るかの選択。

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◆16→17

東回りが最速(下図の点線)。真ん中・右ルートに比べて距離がだいぶ短い。

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インタビュー

伊部様、南河様に簡単なインタビューを行った。

伊部様はJWOCでは4種目全てに出場されるとのこと。1週間前に他のJWOCメンバーとともに現地入りする。目標はまだ決めていないが、JOA合宿に参加したりJWOC本戦のテレインの旧図で読図練習をしたりしているという。 ついでに伊部様の過去についても少しだけ聞いてみた。高校自体はバドミントンをやっていて、その中で走るトレーニングもしていたらしい。また地図読みについては初期の頃に河村優花氏(名大3年、昨年のJWOC代表)から教わったという。部内練習などには初期の頃から頻繁に参加していたという。 

南河様はユニバーシアードのミドルとロングに出場する。スプリントとスプリントリレーは出場無し。リレーは2チーム出すのでどちらかでは走るが第1チームに入れるかは現地で決まるとのこと。名大の先輩に当たる細川氏の成績が良かったのでそれを超えるのが目標。不整地の長いレースに耐えられるよう、名大の近くにある「万歩コース」と呼ばれる不整地コースをおおよそ13kmくらい走る練習を積んでいるという。

当日の様子

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おまけ:国際大会をよく知らない方のためのJWOC観戦案内

JWOCなどの国際大会ではレースの様子が カメラや選手が身に付けたGPSなどを用いて インターネットでレースの実況中継が行われるケースが多い。 このため日本国内にいても観戦できる。 国際大会をよく知らない方向けに観戦を楽しむための予備知識をまとめてみた。

◆そもそもJWOCってどんな大会?

・Junior World Orienteering Championshipsの略
・今年は1998年1月以降に生まれた選手が出場可 (浪人していなければ大学2年生まで+1月〜3月生まれの3年生)
・各国から男女各6名ずつまで出場可
・スプリント、ロング、ミドル、リレーの4種目
・ミドルは予選決勝方式、それ以外は1発勝負
・過去の大会の出場者数を見ると1クラスにつき120〜150名前後が出場
・ミドルのA決勝進出は60名前後

 

◆大会公式ホームページ

http://jwoc2018.hu/

本記事執筆時点で要項3まで公表済み。 要項4は大会直前の7/6(金)に掲載されるとのこと。

 

◆日程

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◆日本との時差早見表

※下記の時間帯において日付は同じ。

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◆何位に入ったらどれくらい凄い? —過去の日本人女性のJWOCでの成績まとめ—

例えば「JWOCスプリントで50位に入った」みたいな情報を聞いたとき、 それがどれくらい凄いことなのかピンと来る人は意外と少ないのではないだろうか。 この辺の感覚を掴めるように 過去のJWOCで日本人女性がどんな成績を出してきたのか調べてみた。 調査にはRunners.WorldofO.comというサイトを利用した。

まずは各時代に全国最速と言われた有名選手のJWOCでの成績をまとめる。
※インカレ・全日本合わせて3回以上優勝した選手を掲載。
※宮内選手、皆川選手、原選手はJWOC出場記録無し。

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次に大会別の日本人選手の成績(最近5年間)。 worldofO.comの大会別成績一覧から調べた。 2017年度については 昨年7月のOK-infoの記事に基づく。

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ちなみにミドルについては上記の参照サイトにA決勝の成績しかまとめられていないが、 予選決勝方式となった1997年以降、 男女合わせて日本人がA決勝に進んだことは1度も無いようである。

 

結論としては

・スプリント・ロング→100位以内に入ったら日本人としてはかなり良い成績、50位以内なら歴史的快挙(日本人歴代最高成績大幅更新(多分))

ミドル→A決勝に進んだら日本人として史上初

という感じの目安感で見ると良いのではないだろうか。

 

なお今回は記事をタイムリーに載せることを優先してJWOCのみの調査とした。 ユニバーシアード(および世界選手権)の観戦案内については 今後行われる他選手の壮行会記事の中で書かれることを期待したい。

 

▼伊部様・南河様壮行会
https://drive.google.com/file/d/1uht178aGUljlBivyhtbAxJ6kDC_Mqe-J/view?usp=drivesdk

▼成績速報(Lap Center)

https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=4653

▼JWOC2018(ジュニア世界選手権 公式Webサイト)

http://jwoc2018.hu/

▼WUOC2018(世界大学選手権 公式Webサイト)

https://www.wuoc2018.com/

▼今年の日本代表選手一覧(日本オリエンテーリング協会)

http://www.orienteering.or.jp/NT/news/2018/0410_2018_4.php

オリエンテーリングの天才・伊部様 ジュニア世界選手権に向けて壮行会開催へ(小山様ファンクラブ)

http://koyamsfc.amigasa.jp/news/news_2018-05-27.html

▼伊部様のこれまでの大会成績一覧(愛知県オリエンテーリング協会、2018年5月末時点)

http://runnersmate.sakura.ne.jp/aichiol/cgi-bin-ranking/display_individual.cgi?ranking_date=2018-05-31&last_data_date=2018-05-31&ruleID=2018&runnerID=9918


▼南河様のこれまでの大会成績一覧(愛知県オリエンテーリング協会、2018年5月末時点)
http://runnersmate.sakura.ne.jp/aichiol/cgi-bin-ranking/display_individual.cgi?ranking_date=2018-05-31&last_data_date=2018-05-31&ruleID=2018&runnerID=3503

 

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