9月30日、宮城県仙台市宮城野区、富谷市、利府町の『鴻ノ館~岩切love2018~』を舞台に「第41回東北大学オリエンテーリング大会」が開催され、M21Aは大橋陽樹(東大OLK)、W21Aは盛合美誉(じゃじゃじゃOC)が制した。
本大会のテレインは『鴻ノ館』『岩切』『高森城址』といった地図名で知られるエリアであり、2014年の東北大大会以来4年ぶりに大会が開催された。テレインの選定について実行委員長の古屋洸に話を伺ったところ「新規テレインで東北大大会を開きたいという話もあったが、一方で、練習会でよく使われる岩切をリメイクすることで、今後練習会で使っていく後輩たちに財産として残したいという思いがあった。また、かつて岩切を走り、慣れ親しんだOBOGにリメイクで驚きを届けたいという思いもあった」と話していた。また、このテレインはこれまでロングディスタンス競技が多く開催されてきた印象であったが、今回ミドルディスタンス競技であった。この理由についても聞いてみたところ「インカレ時期が例年と異なり、ロングが終わった後なので、今後のミドルシーズンに向けてミドルディスタンス競技にしてみた。また、コースプランナーが、岩切を回すときにここを回したいというコースを作ったところ、ロングよりもミドルの方が適切という点もあった」とのことであった。また、「試走、調査等、大会準備にかけた時間は例年以上だと思う。旧図である『鴻ノ館』と航空レーザー測量との併用で地図を作成したが、岩切に初めて入る方も、何度も入ったOBOGも楽しめると思う」とも話しており、豊富な準備に裏打ちされた自信の程がうかがえた。
しかしながら、残念なことに天候には恵まれず、雨が強弱繰り返して降る中での大会となった。本大会の会場は本来は青空会場であったが、受付のある建物内に荷物置き場を急遽設置するなど、運営者は柔軟な対応をとってくれた。なお、荷物預かりの業務は、雨天中止になった体験クラスの役員が担当していたようである。運営者の人数の多さを生かして、スタートまでの誘導も適宜役員を配置し、迷いにくいようになっていた。
『鴻ノ館~岩切love2018~』は、主尾根上に太い道が発達しており、長いレッグを組むとどのようなルートをとるにしてもどうしても道走りが大部分を占めてしまう。今回は、レッグ1つ1つの長さを短くし、ミドルディスタンスらしくテクニカルさを要求するコースに仕上がっていた。一方の沢底は、そもそもヤブが発達しすぎて入れない箇所もあるが、入れる場所は軒並みシダ植物が発達しており、別世界のような印象を受ける。このエリア(M21Aの6、8番コントロール辺り)は10年以上前から、某映画のタイトルを取って「ジュラシックパーク」と呼ばれているが、今もこの呼び名が残っていることには驚きである。ジュラシックパークに出入りする際は急峻な斜面を通ることになるのだが、雨天の影響で登りがずるずるすべり、特にM21Aの6→7では斜面にすべった跡があちこちに残っていた。
テレイン内は車道を横切る個所が存在していたが、道の両側にテーピングをした箇所を横断箇所としており、役員も常駐することで横断箇所が大変分かりやすくなっていた。これまでのバージョンの地図ではヤブが発達していてとても使えないと考えられていたエリアを、しっかりと調査して使用していた点も新鮮であった。実行委員長の古屋が先に言っていた「かつて岩切を走り、慣れ親しんだOBOGにリメイクで驚きを届けたい」というのはここのことを表していたのかと思った。
※余談だが、9と書いてある尾根は10年前は真っ白だったが、2014年の時点でとても入れたものではない状態になっていた。時の流れと植生の変化の大きさがよくわかるエリアである
本大会のコース解説が公式サイトにて公開されているため、ぜひご覧いただきたい。
この日は、西から台風が迫ってきており、20時時点で首都圏のJRは全て止まってしまうことが予告されていた。レース後にこれを知った関東からの参加者は、表彰式を待たずに早期の帰宅を余儀なくされた。天候のせいとは言え、表彰式含め大会の終盤が寂しくなってしまったのは残念なことである。
大会の感想を述べる間もなく会場を後にしてしまった参加者も多いと思われるため、後日入手した大会の感想についていくつか紹介したい。まず、W21Aクラスで優勝した盛合美誉(じゃじゃじゃOC)に、後日大会の感想を聞いてみたところ「雨で地面の状態が悪かったですが、気温は暑すぎず集中してオリエンテーリングができたと思います。ただ道走りが多かったのでもっといいタイムを出したかったです。よりいいタイムを出すためには山の中でのスピードアップが大きな課題だなと思いました。また、レース後、東北大OBの宮西選手の地図の折り方を見て驚きました。私の地図はいつもしわくちゃですが、彼の地図はとてもきれいに折られていました。優勝できたことに加え、新しい発見ができてよかったです。東北大のみなさまありがとうございました」と話してくれた。
また、東北大のOBからも感想を入手している。
コースは、コンピ・スピードのでる道走り・パラレルを誘発するような尾根沢たどり・そしてドロドロの激斜、とミドルレースながら課題の入れ替わりが激しく変化が多くて飽きないコース設定でした。会場は青空会場ながら、雨予報ということで参加者の荷物が濡れないようなサービスがされていて工夫を感じました。まだ現役生でかぶっている代が多いので会場から誘導からレース中までたくさんの後輩の姿が見れて嬉しかったです。岩切でのオリエンテーリングは37回大会の試走や練習会などでなんども経験してきましたが、これほど斜面がどろどろで登っても滑り落ちていく記憶はありません(笑)。テレイン状況はあまりいいとは言えない1日でしたが、たくさんの先輩方や同期・後輩に会うことができ、非常に楽しい1日でした。
M21A出走 橋本正毅(2013年入学)
M21ASコースを走りましたが、ラフに行ける小径わきのコントロールと、細かい尾根沢の緩急が良いコースでした。5→10のジュラシックエリアのレッグが面白く、道走りから一気に沢底に落ちていく5-6、一番の高難度レッグで秀逸と思った7-8、お好きなところからどうぞお登りくださいというプランナーの(黒い)笑みが脳裏をよぎった、9からの脱出 などが印象に残っています。見返してみたら、ジュラシックを存分に堪能してました(笑) また、全般的に、細かい尾根沢が正確…というか、うまく表現されていたと思います。違和感を持たずに走れました。
天候やスケジュールの関係もあり、出場を迷いましたが、参加してとても満足しています。運営者の皆様、ありがとうございます。
M21AS出走 石井亘(2009年入学)
準備期間となったであろう今夏は近年でも稀な暑さとなり、大会当日も台風によるあいにくの雨の中で例年になく大変な運営だったと思います。そんな中でも参加者を迎え、きちんとした大会がセッティングされたことは素晴らしいことだと思いました。
岩切(鴻ノ館)というテレインは私たちの学年が大会を開こうとして諸事情により断念してから、2014年にリメイクがされ今回が2度目の大会開催となりますが、私たちの現役時代にも練習会が開催された機会は数知れず、非常に思い入れの深い場所です。テレインに入る直前にある登り坂が自転車にはこたえるんですよね。こんな岩切LoverのOBOGたちの間でも、「岩切こんなんだったっけ?」という話題になるほど新鮮なコースセッティングでした。
すばらしい大会でした。また来年以降も大会が続いていくことを楽しみにしています。
M21A出走 嵯峨駿佑(2009年入学)
卒業以来7年ぶりくらいのオリエンテーリングでした。大会を通して沢山の人と再会できました。それだけでも感謝です。当日生憎の天気でしたが、テレインの道中で色々な思い出が蘇ってきまして、レース後には晴れ渡ったさわやかな気分になりました。来年も是非参加させていただきます。ありがとうございました。
M21A出走 三森創一朗(2007年入学)
▼大会公式Webサイト
http://www.olc.org.tohoku.ac.jp/taikaiHP/41st_tohokuolc/index.html
[Writer:yi+]