10月28日、静岡県富士市の富士山こどもの国を舞台に「第7回全日本ミドルオリエンテーリング大会」が行われた。M21Eは昨年競技不成立で幻の優勝となっていたトータスの結城が、W21Eは昨年6位の茨大OLD勝山が制し、ミドル王座を獲得した。
(編集長おわび:#106~109の記事は執筆が終わっておらず、掲載が遅れ申し訳ありません。先にこちらの記事を掲載します)
2002年のワールドカップが開催された、通称「勢子辻」と呼ばれるテレインで行われた今年の全日本ミドルは、多くの選手が予想していた通り、難しい溶岩地形にもコントロールが置かれた全日本ミドルに相応しいコースで行われた。選手権クラスだけでなく、各年齢のAクラスにも難しい課題が設定されていたことから、W60AやW70Aでは競技時間オーバーのため、表彰対象が1~2名しか出ないなど、多くの選手が難しいテレインに苦戦したようだ。
選手権クラスで最初に決着がついたのはM20E。昨年は高校1年生ながら、東海高校の森清が優勝しており、今年は連覇がかかっていた。35分の優勝設定であったが、序盤で早大OCの大石が39分台のタイムを出して以降、これを上回る選手が現れないまま推移したが、ラストスタートだった森清が32分台の圧倒的なタイムでフィニッシュ。見事に連覇を達成した。直後にフィニッシュした東大OLKの椎名が37分台のタイムで2位に入ったものの、森清には4分以上及ばなかった。
終盤の15番コントロールで少し手前のヤブを探すミスはあったが、それ以外はスムーズなレースだったと語った17歳は、次なる目標を年末の香港アジア選手権に定めており、そこでもM20Eで勝ちたいと意欲を見せた。高難度のコースであったにもかかわらず、7min/km台のペースで攻略した日本U-20のエース。今後のさらなる活躍を期待したい。
一方、W20Eは今年のJWOC代表選手である筑波大学の佐久間が2位以下に6分以上の大差をつけて圧勝した。高校生の落合、古田島は惜しくも4位、5位で2位には東北大OLCの小林、3位には東大OLKの佐藤が入った。優勝設定の35分には及ばなかったことから、圧勝した佐久間もレースは不満の残る内容だったとのこと。高難度のコースにキャリアの浅い女子選手たちは苦戦したようだ。
W21Eは昨年8分の大差をつけて優勝した稲毛が直前の怪我により不在。混戦になるかと思われたが、インカレミドルの選手権者でもある茨大OLDの勝山が2位の増澤に3分近い差をつけて優勝した。インカレと全日本のミドル2冠達成はES関東C/トータスの宮川以来(おそらく)2人目。「今日は巡航でゴリ押しした」と語った勝山は、言葉の通りラップ解析から得られた巡航速度は95.1と、フィジカルで優る増澤らを圧倒している。高難度のコースにも怯まずにペースを維持し続けたことが優勝につながったようだ。W21Eの上位10名のうち、8名は現役の大学生であり、女王稲毛不在とは言え、今後日本の女子全体がレベルアップしていく期待を抱かされる結果であった。
選手権クラスで唯一接戦となったM21Eは、昨年もトップタイムであったトータスの結城が2位のKOLC伊藤をわずか15秒上回って優勝。昨年は幻となったが、今年は真の王者となった。優勝した結城から1分以内に6人が続く大接戦となった。「帳尻を合わせた」と冗談混じりに語った結城はレース途中から東北大OLCの横山と競り合う形となり、ペースを上げることができたようだ。
2位の伊藤、3位の上島は同じKOLCとして活動する現役大学生であり、M21Eでも若い力の台頭が見られた。M21Aでも上位はほとんど大学生が占めており、高難度のコースにも短いキャリアで対応している大学生たちのレベルの高さに驚かされた大会であった。
静岡県協会自慢のテレインで行われた全日本ミドルは、練習することが難しいようなテレイン、コースで行われたにもかかわらず、キャリアの浅い大学生の活躍が印象的であった。今回のようなレベルのテレイン、地図、コースが全日本ミドルとして毎年用意されるのであれば、大学を卒業した以降も、もっとオリエンテーリングをうまくなりたい、という気持ちを維持できるのではないだろうか。来年以降の全日本ミドルにも大いに期待したい。
▼大会公式Webサイト
http://jmoc2018.o-support.net/index.html
▼成績速報(Lap Center)
https://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/index.jsp?event=4894
[Writer:Hawk]