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#11_梅咲く城山湖畔、タフなミドルテレインに挑む – 第37回早大OC大会

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219日、神奈川県相模原市緑区の『しろやまこ ~にほひをこせよ うめのはな~』を舞台に第37早大OC大会が開催され、6-1クラスは寺垣内航(京葉OLクラブ)、6-2クラスは橋本正毅(東北大学)が制した。

伝統ある早大OC大会だが、実行委員長の坂野翔哉に伺ったところによると、今回の大会はもともと「大会を開催する」の前に「地図を作りたい」という動機が先にあったとのこと。そこで選ばれたのが、今回のテレインである。旧地図は、10年前に作られた『大地沢』であるが、アクセスが良く使用頻度も高いということで、練習会や新歓にも頻繁に使用される。航空レーザー測量を原図として調査することで、経年変化の修正だけでなく地図の精度向上を行い、今後の使用につなげていきたい考えだ。修正も大規模になったので、地図のお披露目の意味も込めて早大OC大会として開催してしまおう、というのが今回の大会開催につながった。会場には、旧地図と今回の地図が並べて展示されており、調査技術の進歩も感じられるコーナーとなっていた。

 

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会場内に展示された旧図『大地沢』(上側)と最新図『しろやまこ』(下側)

※中央部が黒いのは木の影が映りこんでいるため…

 

坂野によればレースだけでなく会場も楽しんでもらうように力を入れたとのこと。上記の地図展示に加え、テレイン名のサブタイトルを勝手に考えて書き込むことができる参加型コーナーも用意された。正式なサブタイトル『にほひをこせよ うめのはな』は飛梅伝説でも有名な菅原道真の詠んだ和歌の一節であるが、まさに会場周りは梅の花が綺麗に咲きほこっており、地元の方も大会参加者も足を止めて見入っていた。また、大会宣伝を自由に書き込める掲示板や、上位者ルート図を大型地図に書き込んで閲覧できる仕組みは筑波大大会でも好評を博した形式だ。売店も用意され、地元の方により特産品の梅ジュースを始めとした出店も見られた。梅ジュースは入賞者にも賞品として配られ、さらに抽選会でも争奪戦が起こっていた。

 

さて、本大会はミドルディスタンス競技の開催となったが、クラス分けは早大OC大会では恒例となりつつある、JOA発行のオリエンテーリング指導教本に基づいた「難易度によるクラス分け」がなされた。インカレミドルも間近に迫ったこの時期であるため、最大難易度の6-16-2は男子学生、6sクラスは女子学生同士が、インカレ直前に互いの実力を測ることができる場にもなっていた。これらのクラスの結果について見ていきたい。なお、本記事には6-16-26sクラスの上位者ルート図(早大OC提供)も掲載しているので、こちらもご覧いただきたい。

まずは6-1クラスを制したのは寺垣内航(京葉OLクラブ)。2位の種市雅也(東京大学)、3位の田中大貴一橋大学)を3分近く離す快走を見せた。とはいえ、田中も4位とは3分近く差をつけており、全体の中では上位3人が抜けだした格好となった。寺垣内は「コンパスをよく見ないと尾根線をたどり間違えそう」というところは注意して臨んだという。コースとしては「56がルートが分かれそう」と感じたという。実際、5番コントロールから道に出るとすぐに渡河点があるためそちらを通りたくなりそうだが、これは渡河点を通らない方が速そうだ。また、910の通り道にある尾根を通って6番に向かうルートもありそうだ。また、寺垣内に難しいと感じたレッグを挙げてもらったところ「個人的には1011が難しく感じた。これまでとは違い、ここだ!と自信をもってアタックできる感じではなかったので」ということであった。ここは、距離感から手前目で尾根の右斜面に進入してうまくこなしたようだ。

 

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6-1クラス上位者ルート

 

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6-1クラス入賞者

 

一方の6-2クラスは橋本正毅(東北大学)が、2位のBaumann SebastianOLC Kapreolo / Switzerland)を2秒差でかわして優勝した。3位には橘孝祐(KOLC)が入った。2位と3位こそ1分近い差が開いたが、こちらのクラスはそれ以降の順位も大差がつかず、混戦の様相を呈した。橋本は「登りが多いコースで心が折れそうだったが、全体的にスピードを出して走れた」と語っており、そのあたりが勝因と言えそうだ。また「1112はルートミスをしてしまった。これはまっすぐ行った方が速かったと思う」と振り返っていた。なお、2位のBaumann Sebastianのルートは△→145などでところどころ突っ切るルートを見せており、会場のルート図を見ていた人々を驚かせた。ちなみに、彼の△→12位ラップ、451位ラップであった。

 

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6-2クラス上位者ルート

 

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6-2クラス入賞者

 

6sクラスは上條圭(方向音痴会)が制した。また、先も触れたようにこのクラスは女性が多くエントリーしており、2位は松島彩夏(立教)、3位には高橋友理奈東北大学)が入賞した。女性1位の松島は「コースは走りやすく楽しかった」と語っており、登りは多いテレインなのだが、ここで走りやすいという感想が出てくるところは松島の体力の強さを感じさせる。一方で「67で尾根にうまく乗れずミスをしてしまった(約4分)。このタイプは苦手なので、春インカレに向けて直していきたい」とも話してくれた。尾根線の乗り間違えというところは、まさしく先の6-1インタビューで寺垣内が注意して臨んでいたというポイントでもある。

 

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6sクラス上位者ルート

 

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6sクラス入賞者

 

初心者に対しても競技説明のボードが丁寧に作られており、大会全体としてあらゆる層に「手厚い」という感想を持った。ここまでしっかりと運営するということは、頭では理想の形として考えていても実際に具現化するのは難しいことだと思える。

また、早大OCの学生も運営を楽しんでいるような印象を受けた。参加者も運営者も楽しめる、丁寧に運営された満足度の高い大会だった。

 

▼第37早大OC大会

http://occompetition.wixsite.com/37th-oc-comp

▼成績速報(Lap Center

http://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=3816

 

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