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2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#17_どんな今日であっても消えない心に残る大会 – 第39回東大OLK大会

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6月4日、静岡県裾野市の『裾野~仙年の鐘の目覚め~』を舞台に「第39回東大OLK大会」が開催され、MEは小泉成行(O-Support)、WEは稲毛日菜子(OLK34期)が制した。

 

伝統の中に、新しい試みも

東大OLK大会は今年で39回目、そして、裾野での開催は2013年以来4年ぶり5回目となる。テレインを走ったことがある参加者も多いと考えられるが、その分運営者では「新しいことをしてみよう」という機運も高かったようだ。運営者による大会公式ブログもその1つ。驚くべきは、毎日更新という更新頻度の高さと、それにも関わらず内容多岐にわたる豊富な記事。この2つを両立させるのは並大抵のことではなく、普通は途中で挫折することも多いものだが、大会当日まで毎日熱意あふれる記事が並び続けた。毎日記事を読んで、大会を楽しみにしていた参加者も多いことだろう。ちなみに、筆者もその一人であった。

そして、大会公式ブログ中で公開された大会PR動画も、地図調査、試走、渉外など、それまでの準備を余すことなく伝え、運営者の熱意が伝わるものだった。

体験会についても、今年は一工夫入れたそうだ。前回よりも会場近くで実施することで、会場と一体感を出そうと試みたという。簡単なポイントOのコースだけでなく、ラビリンスOも用意し、終始盛り上がりを見せていた。運営責任者の岡遼汰郎、渉外責任者の濱宇津佑亮によれば、かつて一緒にO-Ringenに参加した際に、子連れでの参加者がたくさん来て盛り上がっている光景が印象に残っていたという。「オリエンテーリングをあらゆる世代の人に楽しんでほしい。オリエンテーリング生涯スポーツとは言われているが、家庭を持つと大会や競技から離れてしまう方も多い。そんな方たちにも楽しんでもらえるような場にしたい」という思いを、今回の体験会にこめていた。おそらく広報も力を入れたのであろう、結果的には体験会は参加人数200人超という大盛況であった。用意していた地図が無くなりそうになり、慌てて追加印刷するなど嬉しい悲鳴もあがっていたようだ。

高い体力・走力・登坂力が問われるテレイン

先に触れた、運営者の「オリエンテーリングをあらゆる世代の人に楽しんでほしい」という思いは、もちろん現役バリバリの競技者にも向いている。そんな思いを受けてか、本大会のME出場者数は93名、WE出場者数は39名と、多くの参加者が最上位クラスに挑んだ。

『裾野~仙年の鐘の目覚め~』は東西に複数本の大尾根が伸びており、それらを横切るだけでも体力を消耗するタフなテレインである。ME、WEクラスでは、この尾根を横切る形でロングレッグが設定された。多くのルートチョイスが存在し、難しいコースに慣れていない者が見たら「どうすればいいんだ、これは!?」という感想を抱くところだろう。競技責任者の宮本樹によれば「絶望感を与えるレッグかもしれない」ということであった。そんな難レッグを、参加者はいかにして乗り越えたか。

今回は、ロングレッグを始めとしたルートが分かれたレッグについて、運営者よりルート図をいくつか提供いただいている。4レッグを以下に紹介する。

 

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ME 3→4 

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ME 6→7

 

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ME 12→13

 

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WE 9→10 


なお、前日大会と同様に、ルートガジェットの公開がされており、自身のルートを記入して比較するなど反省にも生かすことができる。詳しくは大会時の配布資料をご覧いただきたい。

http://comp.olk.jp/39/rg2/

 

MEは、比較的僅差の上位陣の中で、小泉成行(O-Support)が2分弱の差をつけて抜け出した。小泉は「2週間後の全日本大会を今年の目標としていたので、今回はその予行演習としてチャレンジングなことはせず、今までやってきたことをしっかりやろうとした。予想通りアップダウンが激しいコースだったが、その中で登りを減らしスピードを保って走れるルート取りを心がけた」と語っており、きつかったが最後まで走りきれたということであった。日本オリエンテーリング界のトップシーンで長く活躍する小泉だが、意外にも東大OLK大会の優勝は初めてとのこと。「なかなか勝てない大会だったので、今回勝てて嬉しかった」ということで、来る全日本大会に向けて調子のよさを感じさせた。

WEは稲毛日菜子(OLK34期)が圧勝、だが、本人によれば、走りすぎてオーバーランしたり、コントロール回りでうろうろするなど、反省点の多いレースだったという。ウイニングタイムを8分弱超えたことに対しては悔しさもあるようだ。裾野というテレインに対しては「自分が(OLKの)運営期だったときに作図したテレインでもあるので思い出が深い。どんなにごついコースが来ても楽しめると思った」と語っており、縁のあるテレインでの優勝となったようだ。また、大会についても「スタッフの人数が多くて手厚さを感じた。出店もあって、会場全体をお祭りのように楽しむことができた」と話していた。

 

大会責任者の佐藤遼平によれば、本大会の運営者は100人を超えていたとのこと。人数が多い中で各パート間の連携をとっていくのが大変だった一方、多人数を生かして細かいところまで目が行き届く大会を心がけたという。先に触れたような大会ブログや、レース後の出店での買い物など、大会を丸ごと楽しんでもらおうという準備が感じられた。

大学主催大会は、運営者の青春が詰まった大会でもある。運営者の熱意があふれているのは、決して東大OLK大会に限ったことではない。だが、確実に言えることは2つある。1つは本大会はその熱意が参加者に強く伝わってくる大会であったということ、そしてもう1つは、今年の東大OLK大会も素晴らしい大会であったということだ。

 

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 ME入賞者

 

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 WE入賞者

 

速報より​

第39回東大OLK大会
ME (9.1 km ↑560 m )
1 小泉 成行  1:22:49 O-Support
2 福井 悠太 1:24:34 赤城山熊走
3 細川 知希 1:26:05 ときわ走林会
4 尾崎 弘和 1:26:21 トータス
5 寺垣内 航 1:26:33 チームT
6 松下 睦生 1:27:33 京都OLC
WE (6.0 km ↑380 m )
1 稲毛 日菜子 1:22:50 OLK34期
2 宮川 早穂 1:34:04 赤城山熊走
3 柳川 梓 1:35:13 京葉OLC
4 高橋 友理奈 1:36:25 東北大OLC
5 佐野 萌子 1:36:51 京女OLC
6 松島 彩夏 1:36:57 あざおOLC

 

▼第39回東大OLK大会

http://comp.olk.jp/39/

 

▼第39回東大OLK大会ブログ ~キリタチノボル~

https://olkcomp39th.wordpress.com/

 

▼第39回東大OLK大会、大会PR動画! – キリタチノボル 

https://olkcomp39th.wordpress.com/2017/05/20/%e7%ac%ac39%e5%9b%9e%e6%9d%b1%e5%a4%a7olk%e5%a4%a7%e4%bc%9a%e3%80%81%e5%a4%a7%e4%bc%9apr%e5%8b%95%e7%94%bb%ef%bc%81/

 

▼成績速報(Lap Center

https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=4007

 

謝辞:本記事の写真は上林弘敏さまから提供いただきました。

 

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