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2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#18_テクニカル&タフなスプリントで代表選手を応援! - 茨城県合同・日本代表壮行会

11日(日)、梅雨入りを疑うほどの青空の下、茨城県笠間市にて茨城県合同・日本代表壮行会が開催された。会場は『笠間芸術の森公園』、起伏のあるオープンエリアと複雑な植え込み、走行性の高い山林部が特徴的な、茨城県随一のスプリントテレインである。本イベントの主催は茨城県内の3競技団体(筑波大学オリエンテーリング部、茨城大学オリエンテーリング部、ときわ走林会)の有志一同であり、普段一緒に活動する代表選手の応援・支援を目的とし、昨年に引き続き2年連続の開催となった。

 

茨城県内より選出された日本代表選手は、世界選手権1名(勝山佳恵)、ジュニア世界選手権3名(小竹佳穂、増澤すず、宮本和奏)の計4名。昨年の5名に続き、県内の若手女子選手の台頭が著しい。会場には各クラブのチームメイトのほか、大学クラブのOBOG、その他近隣在住のオリエンティアなど、総勢約40名が集まった。

競技形式は主に公園として整備された範囲におけるスプリントレース。コースプランナーを務めた稲田優幸(茨城大学・ときわ走林会)によれば、テレインの下見時に思いついたルートチョイスや課題等のアイディアを「全部盛り」にしたとのこと。この結果、テクニカルさとタフさの双方が求められるコースが完成した。代表選手および上位者のルートと併せ、コース図を以下に示す。

 

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 代表選手および上位者のルート図

 

ルートの分かれたレッグから2つをピックアップし、以下に解説する。

 

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6番南の大きな建物と、そのさらに南に位置する細長い建物と植え込みをどう処理するかがルートの分かれ目。寺垣内以外の4名は最初の建物を右から迂回した後に、植え込みの間を抜けるルート、舗装地を繋ぐルートに分かれている。一方で寺垣内は最初の建物を左から迂回し、舗装道を使用するシンプルなルートを選択している。脱出時にロスのあった田中を除いて、ミスタイムはいずれのルートもほぼゼロに近いため、大きなタイム差は無いと思われる。しかし、リスクが少なく、道走り区間でコースの先読みが可能になる点では、寺垣内のルートがより有利であろう。

 

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駐車場の迂回方向でルートが分かれている。また、このうち左から迂回するルートでは、植え込みの切れ目から林内をショートカットするルート(寺垣内)、道を繋ぐルート(小竹、勝山、増澤)に分かれている。駐車場を右から迂回した田中、宮本は、寺垣内のルートと同様、ミスタイムはほぼゼロであるため、両ルートに大きな差は無いと思われる。一方で左から道を繋ぐルートを選択した勝山は30秒のロス、さらに小竹と増澤は道の処理でミスしている。シンプルなルートチョイス、あるいは細かい読図と植え込みの処理が本レッグの課題であると言える。特に寺垣内は前レッグでシンプルなルートを選択していたため、先読みにより細かい読図をこなす余裕があったとも解釈できる。

 

○競技成績

茨城県合同・日本代表壮行会
Lクラス(3.9 km)
1 寺垣内 航  20’21 チームT
2 田中 大貴 20’27 東大OLK36th
3 川崎 翔 22’43 茨城大学
女子1位 増澤 すず 29’04 筑波大学
Sクラス(2.4 km)
1 奥尾 優理 15’37 茨城大学

 

Lクラスでは元WOC代表の寺垣内航(チームT)が、元JWOC代表の田中大貴(東大OLK36th)との接戦を秒差で制し、茨城大学の川崎翔がこれに続いた。また、女子では代表選手の一人である増澤すず(筑波大学)が、やはり秒差の接戦を制した。

 

また、レース後は余興企画として、会場周辺のオープンエリアを使用したマイクロスプリントが急遽開催された。1:1,000の大縮尺の地図を用い、500700m程度の短いコース中に10個以上のコントロールが設置されたスピードレースである。ハイペースで現れるコントロールに対し、アタック、番号確認、脱出方向の決定からパンチといった手続きを正確にこなす集中力が求められる。レース後のダウンや、チームメイトの帰還を待つ間の練習メニューとして、こちらも多数の選手が参加した。

 

イベントの最後には、代表選手4名から遠征に向けての抱負が述べられた。以下にその概要を紹介する。

 

「世界のレベルを知り、できるだけたくさん吸収して、茨城大学に広めていければな、と思います」

勝山佳恵(茨城大学・ときわ走林会):WOC出場

 

「まだまだ未熟者ですが、出せる力を出し尽くしてきます。楽しんできます!!」

小竹佳穂(筑波大学):JWOC出場

 

「自分の今の実力を最大限に発揮できるように頑張ります。吸収できるものは吸収して、今よりももっと成長して帰ってきます!」

増澤すず(筑波大学):JWOC出場

 

「楽しみながら、少しでも良い成績を残せるように頑張ります」

宮本和奏(筑波大学):JWOC出場

 

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 茨城県内より選出された日本代表選手

 

世界選手権は630日から77日にエストニア・タルトゥにて、ジュニア世界選手権は79日から16日にフィンランドタンペレにて開催される。大舞台での代表選手たちの活躍と、今後の成長に期待が寄せられる。

 

▼大会公式Webサイト

http://www.orienteering.com/~tsukuba/sokokai/index.html

 

▼成績速報(Lap Center

https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=4021

 

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