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2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#20_改革初年度の頂上決戦は尾崎、稲毛が制す! – 第43回全日本大会

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618日、栃木県矢板市の『矢板日新』を舞台に「第43回全日本オリエンテーリング大会」が開催され、男子選手権は尾崎弘和(トータス)、女子選手権は稲毛日菜子(杏友会)が制した。また、ジュニア男子選手権は佐藤遼平(東大OLK)、ジュニア女子選手権は香取菜穂(千葉大OLC)が制した。

 

全日本大会の改革

これまで42回の開催を続けてきた全日本大会。その位置づけは、当然ながら日本のオリエンテーリングにおける最高峰の大会である。しかしながら、運営の引き受け手がなかなか見つからない、若手の参加者数が少ない(単純な参加者数だけでは、インカレの方が多い)など、継続に向けては憂慮すべき点があった。そこで、こういった状況に一石を投じ、全日本大会を名実ともに国を代表する大会とすべく、全日本大会プロデューサに就任したYMOE社の山川克則氏を中心に改革が行われた。

改革内容の一例としては、

・インカレ直後で学生が参加しにくい3月ではなく、学生クラブの新歓も落ち着いた6月に実施

・競技者登録不要のBクラス、Cクラスを充実

・インカレロングの地区学連選考クラスを設定

などが行われ、また大会運営に対しても、地図作成には山川氏に加えてNishi-Proの西村氏、コースプランナーにはオリエンテーリング教本を作成している吉田氏、計測システムには大場氏といった各分野のプロフェッショナルが集結し、魅力ある環境を作り上げた。それらの効果もあってか、本大会の参加者数は、当初目標としていた900人のレベルまで到達したようである。
もっとも、まだまだ改善の余地はあるとも言われている。だが、改革初年度となった今回の全日本大会、会場の盛り上がり、競技の面白さを見る限り、個人的にはまずは「全日本大会」の名に恥じないものではあったと考えるし、また、参加してよかった、面白かったと思う大会でもあった。今大会は会場でアンケートも取られていたようだが、今年度の反省を生かし、次年度の全日本大会が更なる盛り上がりを見せることを期待してやまない。 

WOC日本代表選手の2人が日本選手権を制す!

女子選手権は「WOCに代表選手として臨むからには、絶対に1位を取る意気込みで挑んだ」という稲毛が、2位の勝山佳恵(茨大OLD)を10分以上突き放す圧倒的な走りで優勝した。学生時代にインカレ、その他の大会で大活躍し、就職後の空白期間を経て再びオリエンテーリングのトップシーンに姿を現した稲毛だが、全日本ロングの優勝は初めてとのこと。「念願の全日本ロングタイトルを取れたことは嬉しい。今期ではレース中一番集中できており、全力を出し切れた」と話していた。一方で、途中で男子クラスの隣接コントロールに向かってしまったり、ロングレッグで「ルートを読み切ってから走り出すことを目標としていたが、ルートが決まる前に『見えたルート』に向かってそのまま走ってしまった」など、100点満点のレース内容ではなかったようである。自身では75点、と辛目の評価をしていた。
稲毛は全日本大会の前に、WOC対策としてエストニアでのトレキャン、そしてフィンランドでワールドカップにも出場していた。ワールドカップでは本人曰く「圧倒的敗北」を経験したこともあり「(今回の全日本大会では)55分くらいのいいレースができないようでは世界と戦えない」とも感じたという。勝ってもなおさらなる上を見据える姿勢が、自身への辛目の評価にもなっていたようだ。

男子選手権は、2位の小泉成行(O-Support)を4分弱離して尾崎が優勝。尾崎は「1年の一番の目標としていた大会で勝てて嬉しい」と話していた。男子選手権は、レッグが入り乱れて読みにくくなるのを防ぐためか、2枚組の地図でのレースとなった。尾崎はレースの序盤で1分くらいのミスをしてしまい一瞬焦りもあったが、その後はうまくコントロールして走ることができ、ほぼミスはなかったという。11→12のロングレッグでは「正解ルートを通ろうとするより、失敗ルートを通らないよう心掛けた」と話していた。

全日本選手権を制した尾崎、稲毛両選手だが、来るWOCではどちらもロング競技に出場する(尾崎はロング・スプリント・リレーの3競技、稲毛はロング・リレーの2競技)。今回の全日本優勝を弾みとして、世界選手権での活躍も期待したい。

 

速報より​​

第43回全日本大会
M21E (8.5 km ↑390 m )
1 尾崎 弘和  1:09:18 トータス
2 小泉 成行 1:13:04 O-Support
3 寺垣内 航 1:14:27  
4 猪俣 祐貴 1:16:08 杏友会
5 松尾 怜治 1:16:50 東大OLK
6 堀田 遼 1:18:42 トータス
W21E (6.0 km ↑305 m )
1 稲毛 日菜子 1:05:48 杏友会
2 勝山 佳恵 1:16:03 茨大OLD
3 柳川 梓 1:16:26 京葉OLC
4 盛合 美誉 1:18:47 じゃじゃじゃOC
5 宮川 早穂 1:19:22 杏友会
6 落合 志保子 1:19:57 OLCルーパー
M20E (6.0 km ↑365 m )
1 佐藤 遼平 0:58:43 東大OLK
2 宮本 樹 0:59:48 京葉OLクラブ
3 稲森 剛 1:00:08 KOLC
4 岩井 龍之介 1:00:46 京大OLC
5 柴沼 健 1:03:36 早大OC
6 新田見 優輝 1:05:39 東大OLK
W20E (4.1 km ↑215 m )
1 香取 菜穂 0:55:29 千葉大OLC
2 稲垣 秀奈美 1:08:10 千葉大OLC
3 立花 和祈 1:08:24 実践女子大学
4 高橋 利奈 1:12:29 早大OC
5 小竹 佳穂 1:22:48 筑波大学OL部
6 小野 花織 1:25:26 椙山女学園大学

 

 

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 男子選手権入賞者

 

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 女子選手権入賞者

 

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 ジュニア男子選手権入賞者

 

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 ジュニア女子選手権入賞者

 

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 男子選手権 尾崎のウィナーズルート

 

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 女子選手権 稲毛のウィナーズルート

 

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 ジュニア男子選手権 佐藤のウィナーズルート

 

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 ジュニア女子選手権 香取のウィナーズルート

 

謝辞:本記事の写真は上林弘敏さまから提供いただきました。

(なお、本大会における撮影写真は5400枚と、上林氏にとっても新記録の撮影枚数だったという)

 

▼第43回全日本オリエンテーリング大会

http://www.orienteering.or.jp/joc/2017/

 

▼成績速報(Lap Center

https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=4029

 

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