OK-Info

2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#52_地域活性とオリエンテーリングのコラボ企画! - 第31回新大大会

f:id:colorfulleg:20171122222244j:plain

11月18日、新潟県魚沼市大白川地区にて、第31回新潟大学オリエンテーリング大会が開催された。一足早い雪景色の中、総勢80名以上が山間部の集落内を走り抜けた。
大会は当初、スプリント・ミドルの2日間大会として企画されていたが、直前の降雪により2日目のミドル競技が中止となった。交通手段が確保できずに1日目から参加を見合わせる選手も続いた一方で、国内ではなかなか機会のない集落スプリント、後述する前夜祭を目当てに集まった熱心なオリエンティアらにより、静かな集落は俄かに活気づいた。

 

集落テレインのマススタート・スプリント

競技は予選決勝方式のマススタート形式で行われた。テレインは大白川地区集落の中心部。民家の軒先や耕作地の角など、地元住民の生活圏内に多数のコントロールが設置された。小雨が降る中、予選はグループごとに3分間隔で選手が出走し、M・Wクラスともに上位10名が決勝に進出した。
決勝は予選で使用された集落エリアに加え、大白川地区を東西に横切る破間川の対岸に位置する、河原・公園エリアも使用された。地表面には部分的に積雪が見られたため、方向転換時の減速を回避するルート、積雪の多いオープンエリアを迂回するルート等で、秒差の逆転劇が繰り広げられたようである。終始チェイス状態の超高速展開の結果、Mクラスは大箭歩(金大OLC)が、Wクラスは山森汐莉(金沢大学)がレースを制した。

 

決勝結果

f:id:colorfulleg:20171122221937j:plain

 

Mクラスを制した大箭によれば、「先週はインカレスプリントのチャレンジクラスに参加したが、同じ集落スプリントでも今回の方がやや簡単だと感じた。2位の石坂さんには終盤まで先行されていたが、ラスト前からのスピード区間で逆転できた」とのことだった。比較的難易度の低いナビゲーションが続く一方で、刻々と足元の状況が変化する中、最後までスピードを維持できたことが勝利に繋がったようである。
終盤での逆転劇は、Wクラスにおいても同様であった。参考記録として出走した勝山佳恵(茨城大学)が序盤から先行したが、続く吉武もにか(越王会)を山森が追う展開が終盤まで続いた。ラスト前のレッグで逆転、優勝した山森も、「予選の記憶も参考にしつつ、周りに置いて行かれないようにペースを維持することを心掛けた。先週のインカレスプリントと同様に、終始楽しんで走ることができた」と話した。

 

ウィナーズルート

f:id:colorfulleg:20171122220530j:plain
Mクラス決勝

f:id:colorfulleg:20171122220605j:plain
Wクラス決勝

f:id:colorfulleg:20171122220645j:plain

高台に位置する観戦ポイントから。
河原を走り抜ける選手たちの姿が一望できる

 

前夜祭改め後夜祭

スプリント競技後の夜には、大白川地区の宿泊施設にて「前夜祭」改め「後夜祭」が催され、多くの参加者や運営者が地元の料理や地酒に舌鼓を打った。また、宴中には地元の愛好家による和太鼓の演奏が催され、各自箸を止め、迫力あるパフォーマンスに聞き入る様子が見られた。学生クラブや社会人クラブ、さらには香港から参加の選手まで入り乱れての酒宴となり、普段顔を合わせる機会の少ない者同士、貴重な交流の場となったようである。

 

イベント開催の経緯

以上に紹介したように、本大会は競技・後夜祭ともに、開催地との密着度が非常に高いイベントとして開催された。大会実行委員長の高野兼也(新潟大学4年)によれば、企画の発端は自身の受講する大学の授業であったという。
「1年前、大白川地区のブナ林等を活用した地域活性をテーマとし、プレゼンテーションを行う機会があった。そこでオリエンテーリング大会の開催を提案したところ、地元住民の賛同が得られ、今回のイベントを開催するに至った」
地域活性を前提としたイベントとすることで、集落エリアを含め、非常にスムーズな渉外活動が行われたようである。さらに今後の大白川地区との関係については、
「今回の企画が、オリエンテーリングと大白川地区の接点を作るきっかけになれば良いと思っている。特に企画の原点であったブナ林でのレース(2日目のミドル)が中止になってしまったこと、テレイン拡大の可能性も残されていることから、早くも多くの方たちからリベンジのリクエストを頂いている」
と話してくれた。今回はお蔵入りとなった2日目のテレインについても、是非多くの人に見てもらいたいということで、以下にコース図を掲載する。

f:id:colorfulleg:20171122220731j:plain

幻の2日目コース図(L1クラス)
サブタイトルの真意は次回に持ち越しとなった

 

地域活性の一環としての企画提案、それを利用したテレイン開拓や地元のコネクションづくりと、通常のオリエンテーリング大会とは一味異なる運営スタイルで開催された本イベント。渉外トラブルが絶えない昨今のオリエンテーリング界を省みても、今回のケースは良い成功例として、他大会の運営に際して大いに参考になると思われる。地域活性とオリエンテーリングwin-winの関係。その新たな可能性を感じさせる大会であった。

​第31回新潟大学オリエンテーリング大会2days
https://30th-shindai.wixsite.com/31th-shindai

 
▼成績速報(Lap Center)
https://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/index.jsp?event=4260

 


 
[Writer8]