6月27日(水)-29日(金)、なかなか稀有な3日間大会に参加してきたので、この場で紹介させていただく。訪れたのはグリーンランド西岸中部に位置する町、イルリサット。人口は約4000人の小さな町だ。北緯69度の北極圏内に存在し、真夏には太陽が沈まない「白夜」となる。大会はロング・スプリント・AMO(Arctic Midnight Orienteering)の3本柱で構成されている。1999年から始まり、近年ではグリーンランド首都ヌークの2日間大会ともコラボしているようだ。
イルリサットに降り立って
地方の駅のような雰囲気の空港を降りると、周囲一面は岩盤で覆われており、遠く北の大地まで来たという感じだ。この時はいま見ている場所がAMOのスタート地点とは知る由もなかった。
電話でタクシーを捕まえて10分ほど走ると、イルリサットの町に到着した。
海には常に流氷が見える。気温は約10度と涼しい。
町を歩いていると、掲示板に大会の案内を発見。各日の拠点が記載されており、どうやらこれを頼りに行くしかなさそうだ。参加国についての記述もあり「Japan」がしっかり記されている。しかしこれだけ広範囲のO-Mapは素晴らしい。
ロング
さて肝心のオリエンテーリング大会の様子を報告させていただく。拠点に到着すると、運営クラブの旗とテントが設置されていた。強風だが天気は最高。参加者は約50名程度だろうか。
テレインは全て岩ベースで、奥地に行くほどに険しくなって真っ直ぐ進めない箇所が多くなってくる。高い所に登ると一面に流氷を見ながらのレースになる。素晴らしい。ここまで来た甲斐があったというもの。
運営者の女性と色々話をしたが、普段はデンマークにいて夏の間だけイルリサットでアルバイトをして生計を立てているようだ。このようなライフスタイルを取っている人達は他にも少なくないようだ。
スプリント
拠点は地元の小学校。イルリサットの町全体をカバーするような形で走るコースになっていた。レースはスプリントらしいルートチョイスも含むもので、1番コントロールから判断に迷うレッグが組み込まれていた。
AMO
3日目はいよいよAMO。
空港前に大きなテントが張られて、温かいスープや飲み物が振る舞われていた。雪や雨が軽めではあるが降っており、寒く厳しいレースを予感させた。
AMOは5kmから20kmの部まであり、筆者はせっかくなので20kmの部を走らせてもらう事にした。23時出走のマススタートという事で、皆テンションも高くお祭りムードである。岩石地帯の奥地まで行くので、笛の携帯が必須となる。
20kmの部は、19.9km up950mというコース距離。道もフラットな箇所もほとんどなく、奥地に行くほどに岩場は険しくなってくる。トップ選手でも3時間弱という結果で、世界選手権男子ロング決勝よりもタフなコースではないだろうか。
筆者は午前4時30分頃にようやく拠点に戻ってくることができた。レースに持参したチョコレートや飴もだいぶ消費した。拠点では温かいスープをごちそうになり、美味しくてたまらずおかわり。運営者の車に乗せられて、宿でシャワーを浴びてようやく一安心。
打ち上げ
AMO後の晩には、Gala Nightという打ち上げが行われた。町の中にあるクラブハウスに集まり、料理は各人が手作りで持ち寄る形式だ。筆者も混ぜてもらい、優しく接してもらって、とても楽しいひとときを一緒に過ごすことができた。
オリエンテーリングを通じての異文化交流はとてもいいものだ。
機会を作って、ぜひ勇気を持って積極的に飛び込んでみてほしい。
▼Arctic Midnight Orienteering 2018
http://iog.9net.dk/wordpress/?page_id=2150&lang=en
[Writer:ZAK]