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#173_オランダ風車が見下ろす風光明媚な公園で - 第44回東北大大会Day1

f:id:colorfulleg:20211107091954j:plain11月6日、宮城県登米市の『長沼フートピア公園』を舞台に第44回東北大学オリエンテーリング大会Day1が開催された。2日間の合計タイムで競う形式だが、初日は山田基生(青葉会17/アイスの会)がトップタイムで折り返した。

 

※11/7 21時追記:コース図を掲載しました

 

遠方での開催チャレンジ

このDay1はもともと東北大大会前日大会として開催予定だったが、当日大会側のテレイン変更等の影響により、急遽、前日大会をDay1、当日大会をDay2とする形式となった。
ここ数年の東北大大会前日大会は、『多賀城緩衝緑地』、『奥松島』、『みちのく杜の湖畔公園』と、東北大大会と比べると仙台市中心部から離れた位置にあるテレインで開催されてきた。本大会の『長沼フートピア公園』は宮城県県北に位置しており、少なくともここ15年程の東北大大会、前日大会の中では仙台から最も離れた場所での開催となる(もしかしたら、全回の中でも最遠かもしれない)。そもそも、このあたりのエリアでオリエンテーリング大会を開催されていることが大変珍しいという印象だ。運営準備においても、移動面が例年以上に大変だったことだろう。移動面が大変だったのは参加者も同じで、公共交通機関を使って移動する際の電車本数の少なさには驚かされた(90分に1本レベル)。最寄り駅は仙台圏のSuica使用エリアから外れていたため、Suicaを使って電車に乗ってしまった参加者が、最寄り駅にて「電車からどうやって降りれば…」と途方に暮れる姿も見られた。都市圏から離れた場所での移動では、Suicaが使えない可能性についても注意しておく必要がある。最寄駅から会場までがまた遠い(徒歩70分)のだが、本大会では運営者が最寄駅から会場まで輸送してくれるサービスを行ってくれたため、快適に会場まで辿り着くことができた。ありがたい限りだ。

 

Day1のコースは序盤と終盤が難所!

会場に近づくと、巨大なオランダ風車が目を引く。『長沼フートピア公園』は、先日放送が終了したNHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」のロケ地の1つでもあり、キャンプ場、長さ111m のローラー滑り台などを有し、休日にはアウトドアを楽しむ家族連れで賑わう。大会参加者は、レースだけでなく、景色もおおいに楽しめる公園である。
そこで提供されたコースはどのようなものだったか、まずは参加者の声から紹介しよう。

参加者の声を一部紹介

・オープンばっかりのテレインかと思っていたが、スプリントらしい細かいナビゲーションも問われて面白かった。(八神さん:青葉会)

・後半の細かいところが読み切れず、難しかった。(森さん:筑波大学

・テレインの範囲はコンパクトなのに、こんなに面白いコースが組まれていてすごかった。(根岸さん:筑波大学

・方向感覚を合わせるのがすごく難しいコースだった。(根本さん:京葉OLクラブ)

・こんな公園あったんだ!という感じ。地元の方から応援された人もいて、いい気持ちで走れた。残念ながら僕は応援されなかったですが…。(嵯峨さん:青葉会)

・最後の17番以降が難しかった。(鈴木さん:入間市OLC)

・今まで運営側だったが、初めて後輩が運営する大会に出れて楽しかった(小林さん:青葉会)

・コンパスがないと走れないくらいの難しいコースだった。今日はコンパスが欲しかった…(長岡さん:青葉会)

・風車や長沼が見えるところが、景色がきれいでしんどかった(星さん:青葉会)

終盤が難しかったという声が多く聞かれた。筆者も同感である。コースの序盤と終盤に、生垣と小径がぐねぐねと入り組んだエリアが使用されており、その部分でミスをする参加者が続出した。特に、終盤の方は疲労も相まって、なおのこと難易度が上がっていたようである。

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難所となった終盤エリア

 

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Lクラスコース図(前半)

 

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Lクラスコース図(後半)

本大会は、東北大と宮城学院女子大の4年生による運営となっている。今回、中心となって準備を進めてきた、東北大4年生のメンバーに運営インタビューを行った。

 

―大会開催、ありがとうございました。今年の東北大大会は、例年の「前日大会」「当日大会」という分け方ではなく、2日間大会としての打ち出しとなっています。打ち出し方を変えたのはどのような理由だったのでしょうか?

高橋(運営責任者):当日大会の方が急遽テレイン変更によりスプリント競技に代わり、前日と合わせて2日間スプリントになりました。ですので、例年よりも集客力が劣るかもしれないと思い、どちらもスプリント競技なら成績を合算して2日間競技とし、通しで参加してもらうようにしたいという意図がありました。

―東北大の前日大会はここ最近、仙台市中心部から離れた位置にあるテレインでの開催が続いていますが、本大会は特に遠方での開催となりましたね。

高橋:もともとは仙台近辺での開催を考えていたのですが、日程調整、競技性等でなかなか決まらなかったところ、このテレインを見つけました。

―遠方開催ということで、地図調査をはじめ、準備も大変だったのでは、と思います。

山田(競技責任者):さすがに公共交通機関や原付で何度も来るには遠すぎる場所だったので、日程をあわせてレンタカーで調査に来ました。

高橋:昨年のみちのく公園での開催実績もあったので、多少遠くても何とかなるかな、という自信というか、開催に踏み切る決心もつきました。長沼フートピア公園に初めて入って「ここがいい!」と、一目惚れというか衝動的に決めた部分もありました。

―この公園は朝ドラのロケ地であるとも聞きました。そのあたりも狙っていたのでしょうか?

高橋:それは完全にたまたまでした。テレインが決まった後「そうだったんだ!」というところです。

―コースも好評だったようですが、「してやられた」と感じた選手も多かったようです。本大会のコースはどのように設定したのでしょうか? 意図などありましたら教えてください。

小林(コース設定者):序盤と終盤に回したキャンプ場のエリア(細かいナビゲーション)と風車エリア(フィジカルが求められる)の雰囲気が違っており、ラフなエリアとファインなエリアの切り替えを意識してコースを組みました。

―勝負レッグの想定はありましたか?

小林:最初に人口柵を絡めたLクラス5→6を組んで、そこからコースを膨らませていきました。5→6に関しては、人口柵を左から抜けるルートが最速だと想定しています。

―終盤が特に難しかった、という声が多く寄せられました。

小林:疲れたところでナビゲーション能力を問うようなコースにしてみました。

―私も、まさに疲労でやられたところに高難易度の終盤でやられたパターンです。疲れましたが、とても楽しく走れました。

井坂(実行委員長):大会が開けたのは参加者のみなさまと、運営準備をがんばってくれた同期のみなさんのおかげです。ありがとうございました。

 

総合結果はどうなる⁉

Day1時点では山田基生(青葉会17/アイスの会)がトップタイムを出した。山田は「登りも多かったので、後半は体力が持たなかったです。終盤の17→20がすごく難しく、生垣の読図が難しかったです。でもめっちゃ楽しかったです」と話していた。うまくいったところ、勝因としては「スタートからスタートフラッグ、さらに1ポまでが長かったので、その間に4ポくらいまで先読みをして備えられました。もっとも、その先の5ポで10秒近くミスしましたが…」と振り返っていた。
山田はこのまま2日間通しての優勝を狙う。一方で、山田から30秒内に長岡凌生(青葉会2016)、根本啓介(京葉OLクラブ/桐嶺会)も続いており、2日間の合計タイムとしては熾烈な争いとなろう。2日目のレース結果、合計タイムでの争いも盛り上がりそうだ。

 

Day2の記事はこちら!

okinfo.hatenablog.com

 

 

 [Writer : yi+]