2022年度の日本学生オリエンテーリング選手権ロングディスタンス競技部門が6日、長野県富士見町「編笠山・西岳2022」で開かれた。
男子選手権は京都大学4年の平岡丈が2連覇、女子選手権は筑波大学2年の樋口佳那が初優勝を果たした。京都大学と筑波大学はそれぞれ男女合わせて3人が6位以内に入賞した。
- あらゆる課題を盛り込んだコース
- 過去の全日本テレイン。制約も多く
- 「勝負レッグは想定に近かった」
- 「慎重さと思い切りのメリハリが結果につながった」
- ~男子レース展開~
- ~女子レース展開~
- 勝負を分けたのは
- レース結果
あらゆる課題を盛り込んだコース
コース設定者の小牧弘季はコースの特徴について「King Of Orienteering にふさわしくコンパスワークやルートチョイスなどあらゆる課題を盛り込むように意識した」と話す。
男子女子ともに地形でのナビゲーションが難しく下草などが発達したエリアでのショートレッグや、急峻なエリアを横断するロングレッグなどで構成されるコース。トゲのある植物が生えたエリアなどでも「バリバリ押すタフさも求められる」(小牧)
※コース(https://icsl2022.web.app/)
過去の全日本テレイン。制約も多く
本テレインは20年度の全日本大会(ミドル・ロング)が開かれた場所でもある。小牧は同大会の両競技で優勝している。「全日本とのテレインの使い分けに気を配る必要があった」(小牧)。伐採も多く入り、「諦めた課題設定があった。出走者は想定したコースとは少し違ったように感じたかもしれない」「ベストなコースというよりも、フェアに力が試されるコースを目指した」と話した。2位に入った筑波大学4年の永山遼真も「南側の尾根・沢が激しいエリアを使うと思っていた」と振り返った。
「勝負レッグは想定に近かった」
男子選手権優勝の平岡はレース後半の15→16のレッグが(レースの結果を左右する)勝負レッグだったと話した。テレイン内の標高が高いエリアを横断するロングレッグは事前の地図読みトレーニングで想定していた。「たどれるラインの特徴が頭で整理されていたので落ち着いてルートを判断できた」という。不明瞭な切り通しを使ったナビゲーションでミスなどがあったものの、ゴール時点で暫定1位だった東京大学4年の本庄祐一(最終順位は4位入賞)から5分以上更新したトップタイムを守り切り優勝した。
「慎重さと思い切りのメリハリが結果につながった」
女子選手権優勝の樋口はレース前から「慎重に行くところと思い切って道を走るところなど、メリハリが大切だと意識していた」。20年度の全日本大会でミドル・ロングともに女子選手権覇者となった稲毛日菜子もレース前、テレインの性質を踏まえ「リスクをなるべく負わない直進ができるかがポイント」と指摘していた。序盤の1→2レッグでは方向がちがうエリアに進むミスもあったが、そこからは慎重な手続きでナビゲーション負荷が低い道も活用。他の選手からも頭1つ抜けだし、唯一、60分を切るタイムを出し優勝した。
~男子レース展開~
男子はまずは13番目にスタートした寺嶋謙一郎(東京農業大学1年)が1時間21分47秒の好タイムを出し、最終的には5位に入賞。寺嶋は1時間以上あとにスタートした本庄が1時間20分13秒のタイムを出すまで暫定1位を保った。「ルートチョイスで一旦とまり、複数の候補を考えた上で落ち着いて判断できた」(寺嶋)ことが好走につながった。
寺嶋に次いで暫定1位となった本庄がゴール後のインタビューで「(後続の選手には)頑張ってほしいですけど、頑張ってほしくないですね」と話した直後。平岡が会場前のスキー場ゲレンデに姿を見せフィニッシュ。トップタイムを更新した。その後は慶應義塾大学4年の用松知樹や東北大学4年の稲毛隆太らが相次いでフィニッシュし入賞戦線は混沌とした。6位入賞した美濃部駿(横浜市立大学2年)から9位の金子隼人(東京大学3年)までのタイム差は1分だった。
シード出走しトップタイム更新の可能性を終盤まで残していた永山、二俣真(京都大学4年、3位入賞)もフィニッシュするも及ばず、平岡が優勝を決めた。
~女子レース展開~
女子は上位4人が優勝設定の65分を切る熾烈な戦いとなった。まずはシード選手として1番手で出走した近藤花保(名古屋大学4年)が1時間1分19秒でフィニッシュ。最終的には3位に入賞した。その4分後に出走した京都大学1年の落合英那(2位入賞)がすぐさま1時間43秒でトップタイムを更新すると、序盤で出遅れたものの13番コントロールで首位に立った樋口もフィニッシュした。樋口と同じく筑波大学の山崎葵は1年生にして6位に入賞した。
神戸大学4年の松本萌恵は4位。ラストスタートの長瀬麻里子(お茶の水女子大学4年、5位入賞)は樋口のタイムを過ぎたのちにゲレンデに姿を現し、樋口が優勝を決めた。
勝負を分けたのは
男子は入賞者の表情にも悔しさが目立った。永山は15→16で痛恨のミスがあった。「道走りで脳を休ませようとしたらナビが切れてしまった」。一時現在地を見失い2分近いミスタイムをつけた。10月の全日本大会(ミドル・ロング)では両日で入賞した。「(インカレロングでは)優勝を目指していたがかなわなかった。春はミドルもリレー勝つ」と唇をかんだ。二俣は1つ目のロングレッグで3分超のミスタイムを計上。「ショートレッグでもミスがあり、走力を生かせずに終わってしまった」と悔しがった。
レース結果
https://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/index.jsp?event=7307&file=1
○男子
1 | 平岡 丈 | 1:14:57 | 京都大学4 |
2 | 永山 遼真 | 1:17:18 | 筑波大学4 |
3 | 二俣 真 | 1:18:00 | 京都大学4 |
4 | 本庄 祐一 | 1:20:13 | 東京大学4 |
5 | 寺嶋 謙一郎 | 1:21:47 | 東京農業大学(オホーツク)1 |
6 | 美濃部 駿 | 1:25:33 | 横浜市立大学2 |
○女子
1 | 樋口 佳那 | 0:57:50 | 筑波大学2 |
2 | 落合 英那 | 1:00:43 | 京都大学1 |
3 | 近藤 花保 | 1:01:19 | 名古屋大学4 |
4 | 松本 萌恵 | 1:01:28 | 神戸大学4 |
5 | 長瀬 麻里子 | 1:07:21 | お茶の水女子大学4 |
6 | 山崎 葵 | 1:08:32 | 筑波大学1 |
https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=7307
[Writer : himok08]