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2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#187_理科大のお膝元・金町で2種目のスプリント - 第3回東京理科大学大会

2022年10月2日(土曜)、東京都葛飾区の東金町運動場で第3回東京理科大学オリエンテーリング大会が開催された。
午前は通常のスプリント、午後はノックアウトスプリントの方式だった。

 

今回の大会は、2020年に行われる予定だったものがコロナ禍で中止となり、2年越しに開催されたものである。

東京理科大オリエンテーリングクラブはマッパーなどとして現在活躍する坂野氏(本大会もEAを務めた)が2014年に設立して、早大OCの一大学として活動してきた。時が経ち、2022年ではメンバーの数が大きく増えて、早大OCの中でもトップクラスの人数となったようである。

 

第1回大会は金町のにいじゅく未来公園で2015年に開催されている。

 

【午前のスプリント】

L1コース

午前は通常の個人スプリントである。

このテレインは500m四方程度であまり広いとは言えないので、2マップ方式が取られた。

スピードは比較的出しやすいが、随所に出てくる藪や崖のコントロール位置に気を遣うコントロールが散見された。

L1クラスでは朝間選手が全体を通じてただ一人9分台のタイムを出し優勝。L2クラスではホープの上妻選手が1位となった。女子選手の中では桑原選手と木口選手がそれぞれトップタイムを出し、KOLCが強さを見せた。

 

疾走する選手

 

【午後のノックアウトスプリント】

最近ところどころで見かけるようになってきたが、まだ日本国内では比較的珍しいノックアウトスプリント。これはWOCのスプリント種目でもある。

今回の形式は以下の通り。

・予選と準決勝は3つのコースパターンがあり、出走50秒前に3つのコースパターンの一部を20秒間見ることができる。最も早く走れそうなものを自分で選ぶ。

・予選は概ね4~5人で1組で上位1名が準決勝に上がれる(距離1km弱)

・準決勝は5人1組で上位2名が準決勝に上がれる(距離1km弱)

・決勝は1コース(距離1.4km)

・女子は人数の関係で準決勝から

 

大変なスピードレースになり、決勝まで走る男子はほぼ全力で3回走ることになるという結構過酷な種目である。

 

(予選)

A,B,Cどれを選ぶか

予選A

予選B

予選C

A:B:C=40人:6人:22人であり、半分くらいの人がAを選んだようである。

実際Aが最短である。Bは距離が長いようだ。通過者の多くはAを選んだ人でCを選んだ人の中には通過者がいたが、Bを選んだ人の中にはいなかった。パターンの選択で差がつく結果となった。

 

(準決勝)

A,B,Cどれを選ぶか

準決勝A

準決勝B

準決勝C

A:B:C=7人:12人:14人であり、予選ほど極端な分かれ方はしなかった。

しかしながら男子の通過者は全員Cパターンであった。Aは午前も使われた崖の上のコントロールを取るのに時間がかかるようだ。Cは鋭角なレッグが少ないことがスピードを出せている要因の一つのようである。

 

ここまでで6人が絞られた。男子では午前1位の朝間選手、上妻選手や橘選手はここまでで脱落、さらに現役大学生が一人も残らないというやや荒れた展開となった。女子でも午前女子1位の桑原選手は脱落した。実力者でも不利なパターンを選んでしまうと、なかなか勝ち上がるのは厳しいようである。

 

(決勝)

決勝進出者は以下

男子: 根本(け)、佐藤、斎藤、小牧、南河、吉澤

女子: 木口、細野、阿部、砂田、深浦、森下

 

決勝は走る選手以外はテレイン内で観戦することができた。

準決勝までとスタートフラッグの位置が変えられており、何かありそうな予感があった。

決勝のコース

 

先に女子がスタート。6名による一斉スタートは見ごたえがある。5番コントロールあたりがゴール傍で最も観客も多い場所であったが、木口選手、細野選手、砂田選手、阿部選手、少し離れて森下選手と深浦選手の順で通過した。5番コントロール以降は木口選手がじわじわと後続との差をつけて優勝した。細野選手と阿部選手が続く形となった。

 

男子は前半は小牧選手が引っ張る形でレースが進んだ。4→5でルートチョイスで分かれたこともあり、ビジュアルでは南河、根本、小牧の3選手がやや前に出た。5→6では再びルートチョイスでルートが分かれた。6番コントロールはパッと見では午前のコントロールの位置と同様に見えるが、実はポスト位置が決勝前に変更されており、よく注意していないと崖の上と下を間違えるように設定されていた。ここで小牧、南河、吉澤の3選手が崖の上からコントロールをパンチしてしまい失格となる(正しくは通行不能な崖の下についている)。

その後は根本選手と小牧選手が走力を見せつけ、他を圧倒するが、最後まで根本選手が1位を譲らなかった。佐藤選手(2位)と南河選手がそこから10秒、吉澤選手はさらに5秒のビハインドでフィニッシュした。斎藤選手は30秒ほど遅れたが、先述の大量DISQにより、3位に食い込んだ。

根本選手は、序盤は小牧選手を利用して終盤の仕掛けどころを探っていたようである。中盤で他選手に仕掛けられた時も冷静に対処できたということだ。

決勝後の選手(左が優勝の根本。小牧・吉澤はdisqで苦笑いしている)

 

今回の大会の商品には「陸の王者」という名前の酒も用意されていて、同日に開催されている早慶戦を意識しているのかと思われるものもあった。(今回の参加者には150kmほど離れた早慶戦のテレイン「裾野」まではしごした強者も多数いたようだ。)

 

 

秋晴れの過ごしやすい天気の中、2つのスプリントを楽しむことができた。

東京理科大学はインカレでも入賞者を出すなど、活躍がめざましい。競技・運営ともに今後も目を離せない存在だ。

                                [writter: Yoshi2]