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#106_新たなクラブカップは魅力満載! - トータスクラブカップミドル

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106日、山梨県北杜市の『瑞牆の森』を舞台に「トータスクラブカップミドル」が開催され、MEは伊藤樹(KOLC)、WEは稲毛日菜子(京葉OLクラブ)が制した。また、クラブ対抗戦は京葉OLクラブが優勝した。

 

本大会は、トータスが誇る、国内随一の美しいテレイン『瑞牆の森』で行われた。この地はボルダリングの聖地として多数のクライマーを集めており、また、高地の緩斜面という地形により、希少植物の宝庫でもある。これらとの共存についても配慮しながらの大会開催となったようだ。

毎度チャレンジングな大会運営が好評なトータスだが、今年は個人戦による新たなクラブカップを送り出してきた。クラブの参加者数、入賞者数が多いほどポイントを獲得できる、ポイント制のクラブ対抗戦…それが今回行われたクラブカップミドルだ。一般クラスのレースの後に行われる選手権クラス(MEWE)には、各クラブの代表1名のみ出場することができ、クラブの応援を一身に受けた代表選手の走りが対抗戦の勝敗を決する仕組みとなっている。

本大会について、実行委員長の濱宇津佑亮にインタビューしてみた。

 

―「クラブカップミドル」という形式での大会開催を考えた背景について教えてください。

濱宇津:まず大会のコンセプトですが、「クラブで楽しめる大会」を目指していました。そこには、幅広い年代の人が、クラブという単位で一緒に大会に参加し、お互いに応援し合って、オリエンテ―リングの「大会」を楽しんでほしいという想いを込めていました。

―その背景には、どういったものがあるでしょうか?

濱宇津:このコンセプトにした背景としては、二つあります。

一つ目は、3年前にオーリンゲンアカデミーに参加したこと

二つ目は、全日本大会の改革に関して自分なりに考えていたこと

の二つです。

―まず、一つ目のオーリンゲンの話から聞いてみましょう。

濱宇津:3年前に自分はスウェーデンで毎年開催されている世界最大の5日間大会であるオーリンゲンに参加してきました。約2万人の参加者がキャンプやコテージで泊まりながら5日間オリエンテ―リングを楽しむという大会です。最高のテレインでクラブの仲間たちの寝食を共にし、オリエンテ―リングを楽しむ。本場のオリエンテーリングの楽しみ方がそこにはありました。そして、一番衝撃的だったのが、幼児から高齢の方まで一緒にオリエンテ―リングを楽しんでいるという点でした。日本では、多くの人がインカレを卒業してしまったらオリエンテ―リングをやめてしまいます。そうではなく、日本でももっと幅広い世代で、オリエンテ―リングを楽しめるようになったらいいなという想いをそのときから抱くようになりました。

―なるほど…。二つ目の全日本大会の方についても聞かせてください。

濱宇津:ちょうど3年前ごろから全日本大会の改革の議論が本格化してきました。自分の問題意識としては、エリートが注目されないということや、クラブ内で互いの結果を気にかけたり、応援がほとんどされていないことがもったいないと思っていました。オリエンテ―リングは個人で行うスポーツですが、一人でだけで走っているとは思っていません、運営してくれる人がいて、大会までに一緒に努力をする仲間がいる。そして応援してくれる人のために持てる力を発揮する。そうした人とのかかわりがあるからこそ、「スポーツ」として楽しめると思っています。そういった「スポーツ」としてのオリエンテーリングの魅力を支えるのはクラブだとも思っていました。

そこで、最近盛り上がってきている地域クラブと学生クラブに注目し、今回、クラブという単位で様々な年代の人が一緒に楽しめる大会にしたいと思い、このコンセプトにしました。

 

「クラブで楽しめる大会」を目指して開催された本大会だが、注目のクラブ対抗戦については、一般クラスの競技終了時点では入間市OLCが首位に立っていた。OKリーグ同様に、幅広い年齢層で活躍を見せてポイントを稼ぎ、クラブとしての勢いを見せつけた。

そして、運営側の予想通り、選手権クラスは各クラブの応援が入り乱れ、盛り上がる展開となった。各クラブから代表1名だけが出場できるシステムというのは、全日本大会にも匹敵する強豪ひしめく舞台となり、また、クラブのメンバーからすれば大変応援のしがいがある場となった。

居並ぶ強豪を抑え、MEKOLCの伊藤樹が制した。「瑞牆の特徴的な植生や岩石を楽しみながら、気持ちよくレースができました。また、偶然でも、目標にしてきた先輩方やライバルに勝てて嬉しいです。今後の自信にしたいと思います」と話していた。また、翌日のCC7とも合わせて「CCMCC72日間通して、また自分たちのクラブが好きになりました。各クラブが団結して競う、最高の二日間大会でした!」と振り返っていた。伊藤の活躍もあり、KOLC入間市OLCまであと4点のところまで迫った。

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ME 伊藤のウィナーズルート

WEは京葉OLクラブの稲毛日菜子が制した。「前半のミスが悔やまれますが、総じて頑張って走ったレースでした。瑞牆の森に入ったのは、大学の12年のころ以来で、自分の好きなタイプのテレインです。つらいよりかは爽やかに走れました。あと、川を越えるところはエキサイティングでした」と語っていた。また、クラブカップミドルという大会については「面白い企画だと思いました。社会人になってから、たくさんの人に応援されながら走る機会がなかなかなかったので、そういう意味でも嬉しかったです」と話していた。

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WE 稲毛のウィナーズルート

なお、余談ではあるが、筆者は場違いにも横浜OLクラブの代表としてMEを走ることになってしまったのだが(うちのクラブメンバーは土曜日参加できない者が多く、なぜか筆者が送り込まれたのである…)、稲毛の感想同様に、たくさんの人から応援されて走れることをとても嬉しく感じた。地域クラブの選手は、特にそう感じた者は多かったのではないだろうか。筆者は、インカレはロングで一度だけ選手権に出場したことがあるが(ミドルも2回選手権に出たことはあるが、当時は各レーン40名中10名、計40名が決勝に進める予選決勝制であり、毎度予選落ちしていた)、スタート時刻が速すぎたために一般の部出場者も会場にあまり帰ってきておらず、あまり応援されなかったのが心残りではあった。今回、場違いな遅さだったのは申し訳ないが、それでも注目される舞台で走ることができて、インカレで得たかった思いを10年越しに得られたような気がした。そういう意味でも、個人的には本大会の運営には大変感謝している。

 

さて、話がそれてしまったが、京葉OLクラブは先の稲毛のWE優勝、そして、MEも寺垣内航の3位入賞により一気にポイントを稼ぎ、逆転でクラブカップミドルを制した。京葉OLクラブ会長の岡本将志にインタビューしてみたところ「誰が何ポイントとれるかとかは考えてはいませんでしたが、各年代で人数が多く、特に若手中心に新入会員が入ってくれているので、総合力みたいなところで勝負ができるだろうとは考えていました。優勝争いにからめるとは思っていたが、実際に優勝できて嬉しいです」と話していた。

 

大会後に、実行委員長の濱宇津に運営の感想を伺ってみたところ「まず参加者の方から楽しかったという声をいただけて、素直に大会を開催してよかったと思っています。そして、多くの運営者の力を集結して、そして北杜市様のご協力を頂き大会が開催できたことにとても感謝しています。トータスクラブカップミドルはある程度の好評を頂けましたが、正直やり残してしまった部分も多くあります。クラブの得点がリアルタイムで表示できなかったこと。それを使って演出をしたかったです。次回大会についてはまだ何もきまっていませんが、まず反省をしっかりして次につなげていきたいと思っています。最後になりますが、今回のトータスクラブカップミドルにご参加いただきありがとうございました」

と話してくれた。

好評を博した新たなクラブカップ。次回についても、期待してもよいのであろうか。

7人リレーとは一味違った、クラブの総合力・結束力を高める好イベントであった。

 

▼大会公式Webサイト

http://www.nishipro.com/7relay/2018/

 

▼公式成績

http://www.nishipro.com/7relay/2018/result.php

 

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