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#191_春寒し北の大地を駆け抜ける - 4-Sprint one more

2023年4月15-16日、4-Sprint one more (春の北海道オリエンテーリング協会大会2023) が北海道恵庭市千歳市にて開催された。1日目は春の陽気の中『道と川の駅 花ロードえにわ』周辺にて、2日目は雨降る寒空の中で千歳市街地にてスプリント競技が行われ、70人近くの参加者がレースを楽しんだ。

 

4-sprintとは毎年4月に北海道で開催されるスプリント大会の通称である。ここ3年は毎年開催されており、名前は聞いたことがあるという方も多いだろう。
大会の特徴は、何と言っても2日で4つのスプリントレースに参加できる点だ。雰囲気や課題の異なる4テレインを堪能できる贅沢な大会である。無類のスプリント好きやタコオリエンティアの面々が全国から参加し、長い冬眠から目覚めた北海道オリエンティアは数少ない北海道での本格的スプリントの機会を楽しむ…そんな大会なのだ。

今年度はレース1・3がスプリントランキング対象となっていたため、この2レースに照準を合わせた参加者も多かったことだろう。ランキング対象大会としてのコース難易度や質を保証する目的もあり、今回のコースプランナーには札幌OLCの櫻本信一郎泉修平を起用した。両者は昨年8月、日本オリエンテーリング界を大盛況させた(?)札幌OLC大会でもプランナーを務めている。
それでは、本大会レース1~4のテレイン&コースの感想、M21Aクラスの優勝者、コメントなどをピックアップしていこう。

 

レース1

レース1 M21Aコース図

恵庭大橋の立体構造とガーデンエリアのナビゲーションが非常に難解な、櫻本氏渾身のコースである。
数多くの下馬評を覆して1位となったのは塩平真士(OLP兵庫/札幌農学校)。ベストルートはあまり取れなかったと話していたが、ナビゲーションのミスを極限まで減らして出力を高く維持できた結果なのだろう。

M21A 1位 塩平のルート

テレイン内には凶悪な隣ポが複数あり、有力選手の中にも気付かずパンチしてしまった者が多かった。道外からの参加者であるM本氏が「もとしん(※)の本気出ちゃったね~」とニヤニヤしていたのが印象的であった。

※櫻本信一郎氏のこと

凶悪な隣ポたち

レース2

レース2 M21Aコース図

レース1テレインの南西の公園と河川敷を爽快に走り抜けるコース。レッグ前半は橋の立体構造を用いた大味なルートチョイス、後半は走力の差が顕著に現れたか。
レース2を制したのは清水嘉人(札幌OLC/札幌農学校)。ICMR2022オフィシャルレースでオフィシャル内1位という圧倒的な走力を発揮しての優勝であった。ちなみに実走3.34km、タイム13:01ということでEカードパンチの一時停止も含めてキロ4を割っているらしい。なんだそれ

1日目会場の様子

レース3

レース3 M21Aコース図

起伏に乏しく、私有地の立ち入り禁止や空き地、小さな公園が入り乱れてモザイクのような複雑な見た目をした、典型的千歳型テレイン(と筆者は勝手に呼んでいる)。私有地の形が過去の千歳型より複雑になっており、本格的なルートチョイスが生み出されている。
不整地のスピード維持私有地の境目を感じ取ることが重要となる。あとめっちゃ目まわる。小さなテレインの良さを余すことなく利用した、泉氏作成のハイクオリティなコース。
レース3の優勝はレース2同様、札幌OLC/札幌農学校清水であった。2位の髙木(札幌OLC)とは3秒差、その4秒後3位に堂垂(札幌OLC/札幌農学校)が続いており、北大OLC OBの意地のぶつかり合いが垣間見える(?)

 

レース4

レース4 M21Aコース図

レース3テレインの東に隣接する市街地で、こちらも典型的千歳型テレインである。札幌OLC大会ミドルの神コースセットと同様、出戻りを防ぎつつテレイン内の面白い箇所をたくさんコースに組み込んでブン回してくるあたり、流石は泉氏である。(←何様)
2日目最後のレースにつき身体は軋み、さらに平均気温6℃ & 終日雨と道民でさえガン萎えする過酷なコンディションであったが、そんな苦難を跳ね除けて優勝したのは髙木一人(札幌OLC)。3月のICMR2022では両日入賞という学生生活有終の美を飾った髙木だが、その速さはまだ衰えていなかったようだ。
また、W21Aでは藤井春菜(札幌OLC)が見事4レース全てで1位となった。辛勝はあれど安定感が凄まじい、本人曰く「フォレストのほうがすき~」らしいが。

2日目会場の様子 藤井はご満悦でピースしてた



大会開催を主導したのは北大OLC OBの宮川俊哉。3年間で12枚ものスプリント地図を描き上げるなど、これまで北海道を拠点に多くの大会開催を運営・協力してきた宮川だが、レース1テレイン『花ロードえにわ』の地図図式の調整は相当苦労し工夫を重ねたようだ。聞けば今年度4-Sprintを開催する予定は毛頭無かったのだが、『花ロードえにわ』での大会開催を櫻本氏から打診されたため張り切って調査した (泉氏はそこに巻き込まれた笑)、とのこと。「過去2年の4-Sprintは北大OLC所有の名テレイン『島松』のプロマッパー調査費用を稼ぐための企画だった」という言葉を聞き、同じく北大OLC OBで当時大会運営にも携わった筆者は図らずも胸が熱くなってしまった。

立体構造の表現1つ取っても苦労が垣間見える

「そろそろフォレストの地図を描きたい‼︎」というのが宮川の本音らしいが、「誰かにやりましょうって言われたらやっちゃうかもな〜」とも漏らしている。インタビューの回答でもいくつかのテレイン候補が挙がるほどアイデアはたくさんあるらしく、今後も北海道のオリエンテーリング大会から目が離せない。

 

 [Writer : dotare]