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#8_8年ぶりのフォレスト独力運営! - 第36回筑波大大会

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129日、茨城県水戸市の『木葉下~金華~』にて、第36筑波大学オリエンテーリング大会が行われた。水戸森林公園内の広場を大会会場としていたが、当日の天気は雲が多く、一抹の不安を抱きながらの運営となった。しかし、運営の熱意が伝わったのか昼頃には天気は回復し、大会会場は穏やかな陽気に包まれた。以下、大会に関する情報を記す。


1.
背景知識
1-1.近年の筑波大大会の歴史
近年は継続的に開催されている筑波大大会だが、部員数の減少を理由に開催を中断していた時期があった。その開催中断前の最後の大会である第31回筑波大大会(2008)の開催テレインが、奇しくも今回の開催テレインである「木葉下」であった。
復活後の開催テレインの変遷は、第32(2012年1月)獅子頭」、第33(20129)「森をかける恋人たち2012」、第34(20151)矢板山苗代」、第35(20159)「森をかける恋人達’15」となっており、スプリントテレインがメインであった。第34回はフォレストテレインだがプロマッパーの山川氏による地図提供を受けているため、大学クラブ単体でのフォレスト運営は久しく行われていなかった。
※2月6日7:40 修正 筑波大大会の開催回数・テレインにずれがあったため修正しました。申し訳ありません。

1-2.テレイン「木葉下」の歴史
木葉下は、1981年の第4回筑波大大会の際に新規テレインとして開発されて以降、今回の大会も合わせて計5回大会テレインとして利用されている。(23(2000)、第28(2005)、第31(2008))
2008年当時は野犬が大量に発生しており、かなり気性の荒い犬が多かったことから、かなり獰猛なデザインの「あぼっけん」という大会マスコットが採用されていた。
しかし、前回大会から今回の大会の間に野犬の駆除が行われたようで、今回の大会において野犬に出くわすことはなく、犬嫌いにも優しいテレインと化していた。

2.大会当日の様子
2-1.競技結果
上記のような状況変化もありながら、木葉下での大会開催にこぎつけた。
春インカレ前のこの時期の大会では、最上位クラスが各大学のリレーセレクションとして利用されることが多い。その通例通り、最上位クラスであるM21A1A2では大学クラブごとにレーンに割り振られていた。有力のところでは東大OLKKOLCA1、東北大、早大OC新潟大学A2W21Aでレーン分けはなく、各地方から大学クラブが集まり、春インカレの前哨戦の様相を呈していた。
結果として、M21A1は細川知希(OLCルーパー)M21A2は戸上直哉(トータス)W21Aは中村茉菜(早大OC)が制した。詳細な競技結果は以下の通り。なお、参考タイムだがM21A1で結城克哉(トータス)W21Aでは稲毛日菜子(杏友会)が優勝相当のタイムを記録した(当日の代走申請のため、正式記録としては残らず)。結果として表彰対象とはならず、参加者側として事前申し込みは大切さを実感した。

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入賞者の一部に話を伺ったところ、「テレインの植生のよさ」が印象に残ったという声が多かった(匿名氏からは「普通にめっちゃいいテレインだった」なんて声も)。筆者の参加したM21A1ではコントロール位置も簡単なものが多く、またショートレッグが多用されてルートチョイスで悩ませるよりも一つ一つのレッグの課題設定に対して適切に対処するスピードと道を走る体力が要求されるコースであった。見た目はやぶくても足場がよいため、そのような技術課題を得意とする選手に軍配が上がったようだ。

2-2.会場での企画
競技会場での企画に目を向けてみると、以下の2つの企画が目立っていた。
①宣伝スペース
②大型地図による成績上位者のルート図掲載
以下、これら2つの企画について詳述する。


①宣伝スペース
図のような、ホワイトボードに「宣伝スペース」とだけ書かれた簡易なつくりではあるが、誰でも書き込めるような掲示板が会場に設置されていた。青空会場にホワイトボードというアンバランスさはあるが、地域クラブが大会の宣伝を行ったり、競技後に有志でルート検討会をする呼びかけなど様々な宣伝が並んだ。
地域クラブや各大学クラブは、基本的に生活圏が離れているため、orienteering.comなどのインターネットを通じてしか交流がない。大会会場のような、一同に会する機会で改めてお互いの情報を交換できるようにする仕組みはとてもよく、また通常のオリエンテーリング会場で見られるチラシのみがおかれたブースなどと比較して目立っており、情報のアクセスのしやすさという点では掲示板形式のほうがよさそうだと感じた。

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宣伝スペース

②大型地図による成績上位者のルート図掲載
近年は様々な大会で行われるようになったが、ラミネートされた地図をホワイトボードに掲載し、その上に各クラスの成績上位者のルートを掲載するという試みがなされた。掲載された地図には大学クラブ所属員から一般参加者まで幅広い人が集まり、ルート談議に花を咲かせていた。

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M21A1,2の大型地図の前でルート談議

また、W21Aのみであるが、成績上位者によるルート解説が行われた。
各レッグのルートプラン・実行・反省を共有し、注意点や注目した特徴物を上げるという方式で進んでいった。聴衆の中にはW21Aクラスの参加者だけでなく、男子選手も交じっており、トップ選手の技術論を積極的に取り入れようとする選手は多くいることを実感した。 

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女子トップ選手によるルート解説

これはあくまで私見であるが、トップ選手の技術論や実際の動きを話に聞くことのできる機会というのは貴重で、特に速くなりたいが次の打ち手がわからないような競技者には格好の上達機会である。聴衆の一員として話を聞くだけでなく、積極的に質問することで自らの技術課題の原因が浮き彫りになり、対策がとりやすくなる効果があるため、このような機会は積極的に活用していってほしいと思う。レース後に会場にいる時間がレースの反省と課題発見のためには最も有効な時間だ。

3.運営上の工夫
<8年ぶりの大学クラブ単体でのフォレスト運営>
円滑な運営で運営陣にも余裕が見られ、運よく大会実行委員長の小森氏にいくつか運営の裏話を聞くことができた。
上記1-1.の経緯もあり、大会実行委員長の小森氏は、今回の大会を開催するにあたって、「フォレストでの運営ノウハウを復活させることが課題だった」と語っていた。フォレスト運営のノウハウの中で最大の課題だったのが作図技術だった。夏の大会準備の際も、藪が立ちはだかり調査が難航することもあったようだ。
また、2008年の大会開催当時の会場である山根小学校は廃校となっており、建物自体も老朽化して使用できない状態になっていた。そのため、屋内の会場探しは難航し、結果として青空会場での開催となった。さらに、最寄り駅からの路線バスは廃線となっており、アクセスが断たれたテレインと化していた…。
好転した事項が少ないながら、運営者の熱意により大会開催にこぎつけ、8年の時を超えて「木葉下」が復活し、見事お披露目となった。筑波大大会が復活した5年前の第32回で100名ほどだった参加者は、今回の第36回では360名ほどに増加した。
参考までに、苦労の結晶である地図の凡例として、M21A2のコース図を掲載する。

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M21A2 コース図 


<
円滑な表彰式運営>
当日は青空会場で、かつ気温の低い時期の開催ということもあり、運営側では「参加者の会場での滞留時間をできるだけ減らす」スケジュールが組まれていた。そのため、競技終了後から表彰式までの時間が極端に短く、1315分には表彰式が開始される段取りとなっていた。
表彰式を早めに始めるメリットとして、①大会全体の撤収時間が早まる ②表彰式を見る参加者の数が多くなる という2つがある。今回は賞品・賞状を余りあるマンパワーでどんどん渡す方式で円滑に進めていたが、各人の役割分担とタイムマネージメントがあってこその円滑な進行であったので、非常に好感が持てた。賞品も豪華で、地元水戸の特産品をはじめ、中には大型のザックもあった。(なぜ事前申し込みしなかった・・・)
余談だが、第36回大会ということで、M21A1M21A2W21A36位の選手に賞品が贈られた。

<その他、印象に残った点>
その他、印象に残った点として、筑波大大会では「大学院生」も運営に参加していた。話を聞いてみると、筑波大オリエンテーリング部には「院生部員」という概念があり、大学院生も大学生同様に活動を続けることができるという。筆者の出身の東大OLKでは、大学院生になると通常のクラブ員としての活動はなくなり、「コーチ」や「合宿運営者」として活動することが多くなる。大学院生でも通常の部員として続けるという選択肢は、オリエンテーリング競技を続けたいけど地域クラブを探すのも面倒…という人への場の提供につながり、またノウハウの伝承の機会も増えるため、とてもよい仕組みであると感じた。

以上で、第36回筑波大大会のレビューとする。
フォレスト運営ノウハウの復活した筑波大学オリエンテーリング部が、これからどんな大会を作り上げていってくれるのか、来年以降も期待したい。

 

第36回筑波大学オリエンテーリング大会 公式Webサイト

http://www.orienteering.com/~tsukuba/36/

成績速報(Lap Center)

http://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/index.jsp?event=3789&file=1

 

 [Writer:Y城]