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#13_大混戦のリレー! 金沢大初優勝、東北大二連覇! – 2016年度インカレリレー

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3月19日、滋賀県高島市の『マロンガーデン マキノ~多くの栗の木の下で~』を舞台に2016年度日本学生オリエンテーリング選手権大会リレー競技部門(以下、インカレリレー)が開催され、男子選手権は金沢大学(大箭歩-渡邊壮-大竹達也)が初優勝、女子選手権は東北大学(長谷川真子-髙橋友理奈-伊佐野はる香)が二連覇を達成した。

 

決戦の朝、各大学の気合がみなぎる

当日早朝…まだ開場前の時間帯、天気はまさかの雨。晴天の予報だっただけに、多くの選手はレースへの影響を心配したことだろう。
幸いにも雨は早朝のうちに止み、地面が多少どろどろになるぐらいの影響で済んだ。そして、湿った空気を吹き飛ばすかの如く、各大学の熱い応援、円陣が始まる。一部を写真で紹介する。

 

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新潟大学

 

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筑波大学

 

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名古屋大学 レース前に胴上げ

 

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千葉大学 手作りの「たぎりキャップ」をエースに渡す

 

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東北大学 大人数で全員が順番にかける「ファイッ! オー!」は圧巻

 

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KOLC

 

1走、混戦の幕開け

9時30分に男子選手権、9時40分に女子選手権がスタートした。
男子の1走で飛び出したのは、新潟大学(高野兼也)。前日のミドルで6位入賞した高野はリレーでも絶好調…3走までの男子全選手で唯一46分を切る好走を見せ、多くの大学を突き放した。そんな新潟大に唯一食らいついたのが横浜国立大学(伊藤樹)。横国大は、第2中間では東京大学(種市雅也)、慶應義塾大学(小泉知貴)、名古屋大学(堀尾健太郎)、早稲田大学(友田雅大)らトップから1分離れた3位集団のさらに後ろにいたが、第3中間で新潟大に8秒差まで迫り、最終的に約20秒の差で2走につなぐ。第3中間後、新潟大・横国大と後続の差は3分以上にまで広がった。1走終了時点でトップから約3分遅れが東大と東京工業大学(小原和彦)、そして4分~4分半遅れに早大、名大、慶應大、京都大学(近藤恭一郎)、金沢大学(大箭歩)の5大学がひしめく結果となった。金沢大はスペクテーターズレーン時点では3位まで順位を上げていたが、最後のループでコントロール飛ばしに気付き、9位まで順位を落としてしまっている。

一方、女子は中間の度に1位が次々に入れ替わる。第1中間では東京大学武蔵野大学混成(田中圭)、千葉大学(森谷風香)、京都女子大学(佐野萌子)が上位にいたが、第2中間では彼女らは後続の集団の中に姿を消す。代わってフェリス女学院大学(成澤春菜)、大阪大学(帯金未歩)が集団を飛び出す。だが、1走終了時にはさらに順位が変動し、筑波大学鈴木直美)が後続に1分半つけて抜け出す。以下、京女大、新潟大学(鈴木友紀乃)、実践女子大学(立花和祈)、立教大学(木村るび子)、阪大と5大学が20数秒以内に続く。この時点で東北大学(長谷川真子)は最後のループで焦って大きなミスをしてしまったということもあり、トップからは6分半の11位。

 

2走、混戦は続く

男子の2走は横浜国立大学(稲森剛)が終始リードを保つ。以下、早稲田大学(柴沼健)、名古屋大学(南河駿)、慶應義塾大学(上島浩平)、東京大学(木島佑輔)が団子状態だったが、第3中間から会場までの間で後続に30秒近くつけて抜け出したのが慶應大。その後ろに東大が続く。東大からさらに1分後、姿を見せたのは第3中間で集団からは2分遅れて6位だった金沢大学…前日のミドルで準優勝の渡邊壮が順位を上げてきた。2走開始時には金沢大は名大と一緒のスタートだったが、途中で置いて行かれてしまい、後ろから来た神戸大学(築地孝和)と一緒に走っていたという。だが、最後のループで序盤に離された名大を再びとらえ、最後の最後で追い越した。1位の横国大と2位以下の差は、第1中間では5分以上あったが、2走終了時には1分20秒にまで縮まっていた。勝負はアンカーに託された。

女子の2走は、第1中間では立教大学(中島緑里)がトップに立ったが、この時点で1走11位の東北大学(髙橋友理奈)が猛烈な追い上げで2位集団に追いついている。2位集団は東北大の他、フェリス女学院大学(村田茉奈美)、筑波大学(増澤すず)、大阪大学(野田桃子)、実践女子大学(中丸祝子)。だが、第2中間で筑波大と東北大が後続を4分突き放して一気に抜け出す。筑波大の増澤は前日のミドルWUFをぶっちぎりで優勝した1年生。インカレリレー前哨戦の位置づけがある山リハで俊足を見せた彼女が、本大会でも力を示した。一方、東北大の髙橋も体力には自信がある。「1走が何位で来ても自分のレースをするだけ」と臨み、3番コントロールで早速筑波大をとらえた。実は、2走の筑波大と東北大はコースパターンが全く一緒だった。2走は筑波大が1位で帰還、そのわずか9秒後に東北大が続く。6分近く離れて、フェリス、金沢大、実践女子大東京大学武蔵野大学混成(増田七彩)が僅差でチェンジオーバー。優勝争いは筑波大と東北大の一騎打ちの様相を呈した。

 

女子3走、熾烈な入賞争い

女子の優勝争いは筑波大学(山岸夏希)vs東北大学(伊佐野はる香)、2年生同士の対決となった。東北大の伊佐野は、1走の長谷川から道走り等スピードを上げて走れる箇所、および難しい個所の情報を聞き、万全の態勢で臨んだ。そして、スピードを出せると聞いていた場所で、先行する筑波大を「死ぬ気で追い上げて抜いた」という。その後は、いつ筑波大が後ろから来るかという不安はあったが、自分のオリエンテーリングをしっかりこなすことに集中し、最終的に7分の大差をつけてトップで会場に駆け込んだ。

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女子選手権優勝:東北大学

東北大女子のインカレリレー優勝は、2008年度、昨年の15年度に引き続き3回目。そして、これまでの東北大の歴史の中で、男子を含め実は一度も二連覇を達成していなかった。東北大学にとって、初めて体験するリレー二連覇であった。
昨年は本人たちも驚く優勝であったが、今年は最初から優勝を狙いに行った結果の優勝だった。ただし「去年勝ったから勝つ!」ではなくて「新しい気持ちで、挑戦者の気持ちで『いつも通り焦らず』をコンセプトに挑んだ」という。東北大女子は層の厚さもある。一般の部のWURでも優勝しており、選手権リレーのメンバー選考も熱いものになったという。来年もその勢いがみられるか。

一方、今回準優勝となった筑波大も、表彰台で「来年は東北大を倒す!」と意気込んでいた。筑波大学の準優勝は9年ぶりである。

そして、3位以下は熾烈な入賞争いとなった。まず3位に飛び込んだのは実践女子大学(石神愛海)。2010年度の準優勝以来、6年ぶりに2度目の入賞を決めた。続いて遅れることわずか8秒、金沢大学(山森汐莉)が4位入賞。昨年は7位で惜しくも入賞を逃していたが、2年ぶりに表彰台に帰ってきた。5位は2走終了時9位だった名古屋大学(長崎早也香)、6位は2走終了時11位だった千葉大学(香取菜穂)、どちらも入賞圏外からの追い上げを見せた。名大は2年ぶり2回目の入賞、千葉大は6年ぶりの入賞となった。

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女子選手権入賞校

 

男子3走、混戦ここに極まる

男子3走の第1中間は引き続き横浜国立大学(橘孝祐)がトップ通過、だが、後続との差は非常に縮まっていた。第1中間での状況を以下に示す。時間は1つ上の順位との差。

<3走 第1中間>
・1位 横浜国立大学(橘孝祐)
・2位 名古屋大学(石山良太)(+0’32)
・3位 金沢大学(大竹達也)(+0’18)
・4位 慶應義塾大学(坂梨敬哉)(+0’10)
・5位 東京大学(猪俣祐貴)(+0’54)
・6位 早稲田大学(澤口弘樹)(+0’22) 

6位までが2分と少しの間にひしめく、3走としては異例の僅差での争いである。そして第2中間、金沢大がトップに立つ。

<3走 第2中間>
・1位 金沢大学(大竹達也)
・2位 名古屋大学(石山良太)(+0’28)
・3位 横浜国立大学(橘孝祐)(+0’39)
・4位 東京大学(猪俣祐貴)(+0’25)
・5位 慶應義塾大学(坂梨敬哉)(+0’08) 

6位の早大は5位と3分近くの差が生じやや遅れたが、5位以上はむしろ差が縮まっている。そして第3中間ではまたしてもトップが変動、名大が最初に通過した。遅れること32秒で金沢大が通過、そしてその20秒後に東大がついに3位まで順位を押し上げてきた。

近年稀に見る大混戦。最後まで何が起こるかわからない状況。第3中間後のスペクテーターズレーンでは、選手の後押しをすべく仲間からの大声援が飛ぶ。会場を最初に通過したのは名大、そして次に通過したのは東大…金沢大を途中で抜き去ったようだ。金沢大も後から続く。勝負の行方は最後のループに持ち込まれた。

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選手権最終盤のループ(男女共通、22番と25番には隣接コントロールあり)

 

最終盤も簡単なコースではない。むしろ、気を抜くと簡単に逆転が生じるコースセットとなっている。
最初に単独で森を抜け出したのは名大の石山。沸き立つ名大陣地。だが、石山の挙動がおかしい。コントロールを飛ばしたのに気づいたのか、森へ戻っていく。次に現れる選手は誰なのか…会場で最高潮の応援が飛び交う中、姿を現したのは金沢大の大竹! そして、すぐ後ろには名大の石山の姿が。大竹が最後のスパートで石山を振り切り、金沢大学の優勝が決まった。わずか9秒後に名大の石山が帰還、フィニッシュで崩れ落ちた。だが、インカレリレー前哨戦の山リハで優勝して存在感を示した彼らは、インカレ本戦でもその高い実力を示した。名古屋大学、3年ぶりの入賞である。

3位はこちらも順位が変動し、横浜国立大学が滑り込んだ。昨年の4位に引き続き2年連続の入賞。4位は東京大学前人未到の4連覇を前にした4年前と同様、またしても涙を呑む結果となった。だが、東大は一般の部MURの表彰台を独占し、獲得メダル数(今年から秋インカレの結果も含まれるようになった)の1位に送られる「山川杯」を手にするなど、強いチームであることは疑いようがない。また一回り強くなってインカレの舞台に戻ってくるだろう。

5位の慶應義塾大学は実に18年ぶりの入賞。表彰台で「先輩がほとんどいないところからここまで来た」と感慨深く話す姿が印象的であり、復活を強く印象付けた。6位には早稲田大学が入った。昨年度の失格の悔しさをばねに、ふたたび表彰台に戻ってきた。

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金沢大学の大竹に話を聞いたところ、実はフィニッシュしたとき優勝だとは思っておらず、「(最後のループで)石山や猪俣の姿を見て『負けられない』という一念で走っていた」という。優勝と聞いて驚いたそうだ。金沢大の男子リレー優勝は今回が初となる。奇しくも、女子リレーの初優勝は5年前の希望が丘、これも滋賀県での開催である。積雪の多いテレインということも、北陸の雪に鍛えられた彼らにとっては追い風であったかもしれない。今回リレーメンバーの3人は、高校時代は全員陸上の長距離の選手だったという共通点も持つ。「今回のインカレを、このメンバーで走ることをずっと狙ってきた」という3人は、狙っていた舞台で最高の結果を手にした。

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男子選手権優勝:金沢大学

 

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男子選手権入賞校

 

閉会式では、来年度のインカレについての告知も行われた。
秋インカレは岐阜県での開催となり、スプリント競技は大垣市での市街地スプリントが予定されている。また、ロング競技は関ケ原町での開催が予定されている。
来年度のインカレではどのような名勝負が生まれるのか…新歓を経て仲間を増やした学生たちが、岐阜の地で熱戦を繰り広げる姿を楽しみに待ちたい。

 

▼2016年度日本学生オリエンテーリング選手権大会 ミドル・ディスタンス、リレー競技部門
http://www.orienteering.com/~ic2016/

▼成績速報(Lap Center)
http://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=3882

▼IC2016 relay – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jm_uDLDzCXo


謝辞:本記事の表彰式の写真は上林弘敏さまから提供いただきました。

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