#54_甦る”神”テレイン! - 筑波大学旧図練習会 in 神峯
11月23日、茨城県日立市にて筑波大学オリエンテーリング部による練習会が開催された。テレインは当部所有の「神峯」。過去の筑波大大会で使用されるも、以降長らく日の目を見ることなく秘蔵されていたテレインである。知られざる良テレインを走れるとの噂を聞きつけ、部内外を含めて総勢約40名が参加した。
本テレインは、日立市西方に南北に延びる多賀山地に位置する。15年前に当たる2002年の第25回筑波大大会において使用されており、急峻な地形と広大な針葉樹林が特徴である。当時の地図では森林部の多くの植生段階はA表記となっており、この表記は事実なのか、現在も同様に存在しているのか、その真偽が参加者の注目を集めた。
コースは当初最上位クラスとして用意されていた「Hard」に加え、さらに上位となる「Very Hard」が、当日の変更可能クラスとして追加された。ここで名乗りを上げた10名の参加者中、最速のタイムを叩き出したのは結城克哉(トータス)。トップタイムでもキロあたり12分を超えたことから、プログラムに記載があった通り「理不尽につらい」コースであったかと思われた。
しかし、多くの参加者から聞かれたテレインの印象は全く別のものであった。「白い」「地面がきれい」「茨城県のテレインとは思えない」など、登距離の多さが霞んで見えるほど、スーパーAのエリアが印象的であったようである。地図の精度もほぼ問題なく、若干の作業道の造成が見られたのみであった。怖いもの見たさで挑んだ多くの参加者の期待を、良い方向に裏切る結果となった。
テレイン中に広く見られたスーパーAのヒノキ林。ここは富士か!?
Very Hard トップ・結城選手のルート図
本企画の仕掛人は、筑波大学オリエンテーリング部OB2年の小柴滉平。開催の経緯について訊いてみると、
「当会所有の茨城県北テレインはいずれも長い間放置されており、これを有効活用したいという思いがあった。部員へのアンケートも踏まえてテレインを選定し、最も近く、地図上の植生表記も良好な『神峯』を使用することとなった」
とのこと。テレイン決定後も、地図の大部分が国有林であったこと、民有林の地主をはじめとした地元住民の理解・協力も得られたことから、事前渉外も非常にスムーズに進んだという。さらに小柴は今後の展望として、
「今回練習会を開催したことで、今後練習テレインとして利用する際のハードルを下げることができたと思う。さらに現役生には、神峯を含む県北テレインの魅力を感じ取ってもらい、将来的には筑波大大会テレインとしてのリメイク・利用に繋げてくれたら嬉しい」
と語った。今後の筑波大学の動向、そして良好なオリエンテーリング・フィールドとしての同地域の可能性に、注目が寄せられる。
思いがけず良テレインの発掘に至った今回の練習会。筑波大学に限らず、全国のクラブ・都道府県協会においても、長らく使用されていないテレインは多数存在すると思われる。競技者数が再び増加しつつある昨今、埋もれてしまったテレインの再活用は、各団体のテレイン開発の一つの選択肢としても有効ではないだろうか。そんな新たな可能性を感じさせる、今回の企画であった。
▼筑波大旧図練習会 - Japan-O-entrY
https://japan-o-entry.com/event/view/96
▼成績速報(Lap Center)
https://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/index.jsp?event=4270
ルート図提供:結城克哉氏(トータス)
写真提供:小林大悟氏(筑波大学オリエンテーリング部)
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