OK-Info

2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#140_あのスプリントチャンプが復活の兆し - 第40回サン・スーシ大会

f:id:colorfulleg:20200815230501j:plain

2月22日、関西で阪神奈大会のスプリントが盛り上がっているころ、関東でもテクニカルなスプリント大会が開催された。神奈川県足柄上郡中井町の「関東パークOツアー2019 in かながわ 中井中央公園 兼 第40回 サン・スーシ大会」である。Lクラスは結城克哉(トータス)が制した。

 

半年前の大会の記事になります。
執筆が遅くなりまして、楽しみにしていたみなさま申し訳ありません。

 

テレインの『中井中央公園Ⅱ』は2013年4月にも『中井中央公園』として第32回サン・スーシ大会が開催されており、中央を道路が横切り、その左右に公園が広がっている。2013年は縮尺1:4,000での提供であったが、今回は1:3,000の地図となった。今回のコース中には三角コーンをバーでつないで設置された人工迷路が用意され、そのエリアにおける地図の判読性の関係もあって縮尺を変更したようである。
コース設定者の尾上秀雄に伺ったところ「本大会の開催にあたり(テレイン北西部の)グラウンドが半分だけ借りれたが、半分だけで何をしようか…と考えたときに、思い立ったのが人工迷路だった」とのことである。迷路部分のコース作成に当たっては「(コントロールの)円同士が被らないように苦労した」とのことだが、円の被りなどにも注意して作った迷路を実際に作ってみると「思ったよりでかかった」と話していた。大会当日にグラウンドの中に迷路を正確に作るのは難しそうだが、本大会では、まず正確な位置を作成しやすい長方形形状を作り、そこから迷路形状に改造する手法をとったそうだ。

f:id:colorfulleg:20200815230617j:plain

グラウンドに広がる人工迷路

 

f:id:colorfulleg:20200815230641j:plain

サン・スーシ流 人工迷路作成手順

 

f:id:colorfulleg:20200815230729j:plain

Lクラスのコース図

 

尾上のコースには多くのルートチョイスが含まれ、参加者からの評判も良かった(余談だが、6月に行われたOK-Info主催のクラブ対抗スプリントコースプラン大会でも上位にランクインしている)。12→13、27→28はなんとなくレッグ線方向に脱出してしまい、袋小路に突入してしまった選手が複数いたようである。
Lクラスを制したのは結城克哉。昨年の7月に前十字靭帯の再建手術を行い、その後リハビリに励んでいたが、本大会が手術後初の優勝となった。また、2位には橘孝祐(ES関東C)が入ったが、橘は本大会の活躍により関東パークOツアー2019の首位を奪還し、ツアー五連覇を達成した。

レース後、優勝した結城にインタビューをしてみた。

-優勝おめでとうございます。本日のレースの感想を教えてください。

結城:特徴物がはっきりしているテレインと思っていたが、走ってみると意外と細かくて、細かいレッグと走らなきゃいけないレッグの組み合わせがたくさんあって楽しいレースでした。

-縮尺1:3000の地図はどうでしたか?

結城:序盤の、特に3-4-5とかのショートレッグで(目指すものが)近いなと思うことはありましたが、地図自体は見やすくてよかったです。

-ミスしたところはありましたか?

結城:結構ありました。序盤だと3、4のところで細かくなり始めたところで地図が読みづらくなって立ち止まったりはしたが、そこは他の選手も同じ条件かなとは思いました。スピードを落として地図を読んだりはして、ミスを広げないようにペースをコントロールできたかなとは思います。

-22→23はどうでしたか? 多くの選手がベストルートをとれなかったようですが。

結城:(道路の下をくぐる)トンネルに行ってしまいましたね。階段を行ったほうが早かったですね。

-25→26はいかがでしたか?

結城:あとでルート検討した感じだと、側道にすぐ出て西回り(右回り)のほうがふくらみが少なくて短いかなと思いました。階段はありますがが標高は(左回りとも)同じだし。もう1回同じレッグをやり直して比較してみたいですね。

f:id:colorfulleg:20200816000923j:plain

話題になったルートチョイスレッグ

※運営者がテレイン中で見ていた限りでは、22→23で、16の東(図中左上)にある階段を使えた選手はかなり少なかったようだ。

 

-コース中には人工迷路がありましたが。

結城:迷路は割とすんなり順応できました。ここを走りながらリズムもつかめた気がします。

-今回は手術後初めての優勝となりますね。

結城:7月中旬に手術し、そこからリハビリをして、オリエンテーリングができるようになったのが12月頃でした。復活にはもうしばらくかかるのではないかと思っていましたが、手術明けで初めて大会で優勝できたのが自分としてはうれしく思いました。

-走ってみての感触はいかがでしたか?

結城:平地だと9割以上の一方で、起伏がある部分はまだ6~7割というところで、踏み込めないところはやりづらいところがありました。ただ、今日起伏がそこそこあるテレインでこれだけ走れたことは自信にはなりました。大会としては、この狭い公園でこれだけルートチョイスがあるコースをしっかり組めたことに、運営者の努力を感じました。とても面白いコースでした。

 

この後、日本では新型コロナウイルスの感染が広まり、多くのイベントが自粛することとなった。オリエンテーリングの大会も例外ではなく、インカレまでもが開催中止となり、大会空白期間が生じた。その中で、結城はJR川崎駅周辺の地図を作成してコースプラン選手権も開催し、さらに最近(2020年8月)では、個人で作成したO-MAPを出品・検索・購入できるサービス「どこスプ」を仲間とともに立ち上げるなど、コロナ禍を跳ね返すような精力的な活躍が目立った。いまだ大会数が少ないものの、徐々にオリエンテーリングの機会が増えていく中で、結城がかつて以上の走りを見せてくれることにも期待したい。

 

 

 [Writer : yi+]