OK-Info

2017年1月よりスタートしたオリエンテーリング関連のニュースサイトです。関東を拠点に、手の届く範囲でですが大会記事などをお届けしていきたいと思います。

#163_春だ!祭りだ!オリエンテーリングだ! - 関学春のオー祭り

f:id:colorfulleg:20210406212807j:plain

3月24日、群馬県前橋市の前橋公園にて、関東学生オリエンテーリング連盟主催で、関学春のオー祭りが開催された。 

競技は午前にL、Sクラスの個人戦、午後にマススタート個人戦及びリレー、さらには関東学連追いコンレース、という非常に充実した内容となった。

 

f:id:colorfulleg:20210406031609j:plain

個人戦Lクラス コース図

このテレインの特色は、エリアごとに様々な顔があるという点である。コースもそれぞれのエリアを感じるレッグやそれらを繋ぐレッグで構成され、様々な課題が求められるテクニカルなスプリント競技が提供された。次々と移り変わる課題に意識の切り替えが間に合わず、ミスタイムを計上してしまった参加者も多かったに違いない。

午前のレースで特筆すべきは、2020年度に圧倒的な強さを誇っていた小牧弘季(筑波大学)が15%超のミスタイムで8位に終わったということである。レース途中までは1位をキープしていたが、14→15の40秒弱のミスを皮切りに合計2分強のミスタイムを計上し、順位を落とした。そんな小牧に代わって優勝したのは、尾崎弘和(トータス)。2位の本庄祐一(東大OLK)を30秒ほど引き離しての優勝となった。

また、女子は稲毛日菜子(京葉OLクラブ)が2位の阿部悠(さつまいも)を2分弱引き離す快勝を収めた。

コース設定者の村田千真に、コースについてインタビューを行った。

―今回のコースでこだわった部分はありますか?

村田:1→2のように、レッグ線方向にすぐ脱出してしまうのではなく、出戻りのルートを選択した方が距離が短くなるようなレッグが私は好きです。このレッグでの参加者の方々の動きが気になり私も見ていましたが、スムーズに出戻りを選択できた選手は少なかった印象でした。

―全体的にルート選択が豊富でなかなか油断ができないコースだという印象があります。

村田:もう一つ挙げると、9→10は試走段階では存在しなかったのですが、この群馬県の形をしたさちの池を感じるレッグが欲しいという意見を受けて追加しました。望み通り群馬県を感じられた選手もいれば、競技に夢中で気が付けなかった選手もいたようです(笑)。

今回の地図/コースには「祭り」にふさわしい仕掛けがいくつも用意されていた。その中でも特徴的だったのが、テレイン内の桜を活かした作図である。テレイン内には、一般的なソメイヨシノシダレザクラのほかにも、非常に珍しいカンヒザクラ(写真)まで、数多くの桜が植えられていた。

f:id:colorfulleg:20210406033108j:plain

前橋公園内のカンヒザクラ

村田:「春のオー祭り」ということもあり、地図を開いたときに桜を感じられるようにしたいと思い、「目立つ大きな桜の木」「目立つ小さな桜の木」の記号を作ろうと思いました。実際に書いてみたらそこまで存在感を出せなかったので、レイアウトで右上に桜を付け足しました(笑)。

―今大会の役員には「桜鑑定士」さんがいましたね(笑)。

村田:もともと私が桜かどうかを判定していたのですが、試走時に今回桜鑑定士となった猪股紗如さんから指摘があり、私の判定に誤りがあることが分かりました。そして彼女にテレイン内のすべての木を判定してもらい、正確な地図を作ることができました。

若月:彼女は桜以外の植物全般に詳しいし、完璧な人選でしたね(笑)。

―コントロール位置説明にも桜が導入されていましたね。

村田:せっかく地図に桜の記号を導入したので、コントロール位置説明にも、「針葉樹の」等と同じように、「桜の」を追加しました。この2つの記号の導入でお祭り感を演出できたかなと思います。

f:id:colorfulleg:20210406035443j:plain

今大会用に作成された桜関連の特殊記号

さらに、当日最後に関東学連追いコンレースでは、村田が筑波大学内で行いオリエンティア界隈でも反響が大きかった「京都オー」が行われた。一方通行の道路が多い京都の市街地からインスピレーションを受け、特殊記号を用いてテレイン内に一方通行の通路を設けている。

f:id:colorfulleg:20210406040608j:plain

京都オーのコース図。「>」の記号で一方通行の規制を表現する。

このような「祭り」と呼ぶに相応しい、一風変わったオリエンテーリング等も企画され、参加者は終始笑顔に満ちていた。

今大会について、今大会実行委員長の若月俊宏と、渉外責任者の村田千真の2人にインタビューを行った。

―今大会を開催しようとなった経緯を教えてください。

若月:今年度関東学連はセレクション関連の対応などで例年は行う必要のなかった手続きが増え、その一方で5月末に予定していたペアOや、夏休み期間に予定していた新人戦などが中止となり、楽しいイベントがどんどん奪われていって辛かったです。

村田:楽しいイベントがないまま2020年度を終わるのが嫌だったので、祭りのような楽しいイベントを開催しようということで、今回のオー祭りを企画しました。

若月:もともとオー祭りは別の場所での開催を予定していたのですが、渉外が上手くいかず、行き場を失っていました。正直、前橋公園がなかったら開催はできなかったと思います。

―最初要項が発表されたとき、開催地が群馬県で、しかもニューマップが作成されることに正直驚きました。このテレインでの開催となったのはどういった経緯だったんでしょうか?

村田:2月ごろに自分がテレインハント中に、群馬県そのままの形をしたさちの池を航空写真で見て、ここの地図を作りたいと思ったのが最初のきっかけです。その時はオー祭りでこのテレインが使用することは考えておらず、自分の趣味で作図することを考えていました。その後若月との連絡で、このテレインをオー祭りで使おうということになり前橋公園での開催を決めました。

若月:そこから現地に渉外を行い始めた時にはもう3月になっていたので、準備にかけた期間は相当短かったです。

村田:渉外をしていく途中でも、群馬の人たちは本当に温かい、と思いました。少し無理なお願いも快諾していただき、非常に助かりました。

若月:当日も現地の方々に会場で優しく声をかけていただいたり、本当に現地の方々の温かさに助けられました。短期間で開催ができたのは間違いなく現地の方々の温かさのおかげだと思います。

―大会を開催してみての反響はいかがだったでしょうか?

若月:いろいろな方々から楽しかったと言ってもらえて非常に嬉しかったです。

村田:今大会が平日の開催だったこともあり、主に社会人の方々からTwitterのDMなどで「また前橋公園で開催してほしい」というメッセージを多くいただきました。私自身も準備期間が短く作図で書ききれなかった点などがあるので、またアップデートした地図で皆さんに楽しんでいただけるような機会を準備したいです。

 

[Writer: JUNE]