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#120_ハッピーニューカミネ2019 – 第38回筑波大大会

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1月27日、茨城県日立市の『神峯~蘖ゆ~』を舞台に「第38回筑波大学オリエンテーリング大会」が開催され、M21A1は柴沼健(早大OC)、M21A2は種市雅也(東大OLK)、W21Aは稲毛日菜子(京葉OLクラブ)が制した。

茨城の“神テレイン”!?

近年、筑波大大会は茨城県のフォレストテレインで開催されており、今回は前々回の『木葉下』前回の『那珂川』より北部に位置する『神峯』が17年ぶりにリメイクされた。茨城といえばゴツくてヤブいことが定評であるが、同テレインで開催された「旧図練習会」では富士を彷彿とさせるスーパーAが目撃され、“神テレイン”と評する者もいたほどである。満を持しての大会開催となった今回、前日には雪がちらついたものの当日は快晴に恵まれ、400名近いオリエンティアが森を駆けた。

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森を駆けるティア達

さて、期待を集めた『神峯』は実にハードなテレインであった。尾根線上は走りやすいものの、全体的に藪や倒木、急な斜面が目立ち、スピードが出しづらい。コースはそんなテレインの特性を活かし、登坂力だけでなくルートチョイスも問われるミドルに仕上げられていた。特にM21Aの2→3は運営者でも答えが出なかったという難レッグで、上位者のルートも大きく分かれている。コース設定者の増澤すずに話を伺ったところ、「アップを抑えつつ単調にならないよう、ロングレッグやループを取り入れた。コースの形も綺麗になるようこだわった。ミドルは苦手なので好評で嬉しい」と語っていた。

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M21A2上位者のルート

M21A1、M21A2、W21Aのレース結果は以下の通り。M21Aは学生随一の実力者、種市と柴沼が優勝。W21Aは怪我から復帰した稲毛が二連覇を果たし、健在ぶりを示した。

M21A1 3.8km ↑255m

  1. 柴沼健(早大OC) 0:39:01
  2. 猪俣祐貴(入間市OLC) 0:40:26
  3. 大田将司(一橋大学) 0:40:39

柴沼:濃い藪や後半のはっきりしない地形に苦しめられたが、白いエリアはとても面白かった。終始ナビゲーションを求められる中、道など走れるところでしっかり走ることを心掛けた。また、参加者がレース以外でも楽しめるよう気が配られた大会だと感じた。茨城テレインは入る機会が少ないので、筑波にはぜひ開拓していってほしい。

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M21A1 柴沼のウィナーズルート

M21A2 3.8km ↑260m

  1. 種市雅也(東大OLK) 0:38:24
  2. 橘孝祐(ES関東C) 0:38:53
  3. 稲森剛(KOLC) 0:39:25

種市:長めのレッグと短めのレッグが組み合わされており、登りも多かったためスピードの緩急をつけなれければならなかった。得意なタイプではなかったが、茨城大大会の反省を活かして序盤から終盤まで走り抜いたことが結果につながったと思う。筑波大大会は参加者が多く、運営がしっかりしているので競技者として目標にできる大会だ

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M21A2 種市のウィナーズルート

W21A 3.1km ↑175m

  1. 稲毛日菜子(京葉OLクラブ) 0:39:29
  2. 勝山佳恵(茨大OLD) 0:39:51
  3. 中村茉菜(ES関東C) 0:40:52

稲毛:藪に阻まれて前半は思うようにレースを進められなかったが、後半はプランがシンプルになるよう意識して走った。2位の勝山選手には僅差の辛勝となったが、最近巡行が下がっているので地図をたくさん読んでミスが少なくなってきた勝因だと思う。

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W21A 稲毛のウィナーズルート

コースが好評を博した一方で、前評判に比べて藪が濃く感じたという声も聞こえた。そこで作図責任者の小竹佳穂に伺ったところ、なんと「旧図練習会」で使用した白いエリアは造成工事のため、本大会では使用できなかったらしい。そのため、新規エリアや隣接した『棚倉街道』の一部を使用することになり、全体的に走行可能度が落ちてしまったとのこと。また、作図したものの都合により地図に記載されなかった範囲も多いらしく、運営者の苦労が伺えた。“神テレイン”とはまたの機会に相見えるだろう。

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旧図練習会の4→5周辺がスーパーA
走るだけじゃない!演出も楽しい筑波大大会

ところで、参加者が多いミドルレースはどうしても時間が余りがちではないだろうか。本大会ではそんな空き時間にも大会を楽しんでもらおうと演出面で数々の試みがなされていた。会場アナウンスでも実行委員長の鳩力乃介が「競技面だけでなく、前回大会では雨でお披露目できなかった演出面にも注目してほしい」と語っていたほど。ここではいくつか抜粋して紹介しよう。

まず、目を引いたのが会場内に設置された大型地図だ。21Aのコース図がラミネート加工されて掲示されており、上位者がその場でルートを書き込める。前述の通りルートチョイスが問われるレッグもあったため、地図の前では参加者たちがルート談義に花を咲かせていた。

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筑波大大会ではお馴染みとなった大型地図

前回に続いて、音響設備を使った放送企画にも力が入れられていた。注意事項がアナウンスされるだけでなく、レースの意気込みや上位者へのインタビューなどを聞くことができた。加えて、事前にメッセージを募集して当日読み上げる、視聴者参加型のラジオを模した催しもあり、会場に残った参加者の耳を楽しませていた。

 (上位者のインタビューはTwitterに掲載されており、M21A1優勝 柴沼、M21A2優勝 種市、W21A2位 勝山、3位 中村のインタビューもリンク先で見ることができる)

豪華な賞品も定番だ。筑波大大会は地域振興の観点で協賛に力を入れており、多大な協賛品を頂くとともにTwitterなどで積極的にPRを行っている。加えて、筑波大学OBの小泉成行が代表を務めるO-SupportからはnonameのOスーツ、筑波大学包括的パートナーシップ協定を締結しているドームからはUNDER ARMOURバックパックやタオルなどを協賛いただいており、剛柔兼ね備えたラインナップとなっている。また、開催回数にちなんだ特別表彰も恒例で、21Aの各38位には筑波大学公式オリジナルグッズがプレゼントされていた。

この他にも、広い会場を利用したラビリンスO、部誌「まわりみち」の大会特別号配布、記念撮影にもってこいのマスコットキャラクター「かみねくん」スタンディー、自由に書き込める宣伝ボード、キッチンカーでの販売、マスコットキャラクター再選挙Twitterでの観光案内など、多種多様な試みがなされていた。もはや筑波大大会は日本一の企画力を持つ大会と言っても過言ではないだろう。

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強風の中ラビリンスOでタイムアタックに挑む

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完売御礼となった「まわりみち」大会特別号

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顔出しパネルの「かみねくん」スタンディー

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所狭しと書き込まれた宣伝ボード

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唐揚げとタコライスのキッチンカーにできた長蛇の列
醒めて立つ!筑波大学オリエンテーリング

良質なコースに地図、手厚い運営、豊富な演出。第38回筑波大大会は運営者の熱意が伝わってくる大会であった。会場からは楽しかった、良い雰囲気だったという声も聞こえ、筑波大大会は関東の大学大会としてすっかり定着したようだった。

そこで、本大会はどのように創り上げられたのか、実行委員長をはじめ役員たちにロングインタビューを行った。その模様は後日OK-Infoにて公開予定である。お楽しみに!

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実行委員長・運営責任者・競技責任者インタビュー

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コース設定者インタビュー

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作図責任者インタビュー

そして、次なる第39回筑波大大会は12月1日(日)開催と発表されている。詳細はまだ発表されてないが、予想外のテレインで開催されると聞き及んでおり、期待は高まる一方だ。

また、そのプレ運営として早葉戦が来週5月11日(土)に23区最大級の公園『水元公園』で開催される。スプリントとスプリントリレーの二本立てで、関東パークOツアーの対象にもなっている。エントリー締切は過ぎているものの当日参加も可能だ。

筑波大学オリエンテーリング部は先日の春インカレにて、増澤すずがミドルチャンプになり、リレーでは悲願の女子選手権優勝を果たすなど、目覚ましい活躍を見せた。存続の危機から10年、筑波大学オリエンテーリング部は勢いを取り戻し、競技と大会運営の両面で飛躍を続けている。今後のさらなる活躍にも注目していきたい。

 

▼大会公式Webサイト

http://www.orienteering.com/~tsukuba/38/

▼成績速報(Lap Center)

https://mulka2.com/lapcenter/index.jsp?event=5036

▼成績表(PDF)

http://www.orienteering.com/~tsukuba/38/comp38th_report.pdf

▼写真(斎藤早生氏撮影)

 https://photos.app.goo.gl/zgtQcXb9viWqqMQv6

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謝辞:記事中の写真は運営者に提供いただきました。

  

[Writer:Kouhei]